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プロローグ
悪徳領主。
無辜の民に重罪を科し、自らは私服を肥やし、贅の限りを尽くす。
彼らがどのような末路を辿るかは、歴史が証明している。
あるものは民衆の蜂起により自らの罪をその身によって償わされ、あるものは正しきものによってその罪を暴かれ追い立てられる。
そんな没落確定の悪徳領主の子息として生まれたニコル。彼には前世の記憶が残っていた。
それは、はるか時を隔てた日本という異国の記憶。
この世界は、その国では領地育成ゲームとして知られた世界だった。
彼の生まれた、ザルツブルグ領は、主人公が権力を簒奪し、育成する領地を手に入れる場所である。
ニコルは、五歳の誕生日にその事実に気づいた。
五歳の誕生日まで、一言も発さなかったニコルは、突然叫んだ。
「うわぁぁぁぁぁ!!!終わったぁぁあ!!!」