聖隷騎士団の再結成
7月19日。私とひとり娘の伽耶。親友の森崎悠花とひとり娘の真麻は聖隷騎士団を再結成した。場所はノワール公国の事務所。事務員は不在なので私たちの貸し切り。更衣室で白のセーラーと紺のミニに着替えた。定番の夏服を身にまとった私たちは[勇武の間]に集まり[ビーナスクライ]を斉唱した。魔法戦士のイメージソングで伽耶と真麻がAI作曲したもの。まるで凌辱系のアダルトゲームみたいなノリのいいメロディーラインに乗せたエッチな歌詞とのギャップが魅力。聖隷騎士団は2年前の夏に名古屋で産声を上げた。28歳と10歳児の母娘戦士2組が魔法戦士として異世界へ初参戦。だがバロンとの対戦に敗れ、彼らの手で私たちは壊滅させられた。ノワール公国に仮投降し、一時は虜囚の身にまで堕とされたが、1ヶ月後に釈放された。あれから2年。私たちは彼らに雪辱を果たすべく入念に準備を重ねてきた。3番まである曲を歌い終わるや私たちは早くも性的な興奮を覚えた。何しろ私たちはこの夏服を身にまとったままバロンに膝を屈したのだ。本来ならば今すぐにでも参戦したいが、それだと彼らの術中にハマる。すでに仇敵のケネスたちからは[いつでもおいで]とのこと。だがあえて私たちは9月からの参戦に決めた。お盆にプライベートビデオを撮り、初戦の前にバロンに渡す。もちろん彼らを腑抜けにして9月の戦いを有利にするためだ。プライベートビデオは秋にも撮る予定で、引き続きバロンを骨抜きにする。私たちは来春までに戦いを終えるつもりでいた。着実にリードを広げ有利な形で講和に持ち込む。彼らを支配下に置いて可愛がりたいというのが私と悠花の切なる願い。だが娘たちは過去の屈辱などすっかり忘れ「コルトたちに春服をお披露目したい」と譲らない。異世界側は幼き魔法戦士にすっごく甘いから仕方ない。伽耶はコルト。真麻はユリウスに処女を奪われはしなかったし、前回の対戦でかなり手心を加えてもらえたのは事実。だが私はケネス。悠花はヤンに手厳しく責め立てられた。まぁそれはいいんだけどね♥娘たちはまた優しいおじさん兵士に遊んでもらえる感覚でいるが、私たちはあえて突っ込まなかった。娘たちは幼稚部からの長い女子校生活に飽きていたし、私たちもリアルにマトモな出逢いなどありはしない。バロンへの思慕があるのは悔しいけれど否定しない。確かに2年前は惨敗を喫したが、私たちは成長した。露出度高めのコスチュームに身を包み、異世界の殿方と矛を交えるのは私たち魔法戦士の本懐でもあった。私たちは[時の間]に行き、魔王さまの前で片ひざをついた。肖像画の前なのに彼らは妙にリアルなのだ。私と伽耶はライエルさま。悠花と真麻はリメルさまに完全なる従属を高らかに誓い合った。「魔王さま、私はケネスたちを半年以内に片付けます」私は続けた。「必ずや前回の雪辱を晴らしますわ」次は悠花。「魔王さま、私はヤンたちと再び矛を交え、来春までには必ず有利な形で講和を結びますわ」続いて伽耶。「魔王さま、私はその・・・コルトたちと仲よくケンカしたいですわ」いや我が娘。それって誓う意味あるの?最後は真麻。「魔王さま、私もその・・・ユリウスたちと楽しくやりたいですわ」や、やっぱりこの子たち懲りてないわね。だが誓いの儀式が終わるや私たちは羞恥と生気に満ち溢れた。帰宅してもなお私たちはからだの火照りがおさまらなかった。ぬるいシャワーを浴びたくらいじゃ全然ダメ。やっぱり思い出しちゃう。あのひと夏の思い出を。皮肉にもあの頃の思い出は苦いはずの記憶が徐々に淡い記憶へとすり替えられた。いつしか苦々しい敗北が心地よい性体験へとすり替えられていった。丸2年かけて熟成された結果、苦あいトラウマがいつしかアタマの片隅へと追いやられた。[記憶がウソをつく]とはそういうことだが、私たちはまさか自分の記憶がウソをつくなんて知る由もなかった。単純に9月から2月がボーナスタイムになると信じ込んだ。確かに秋服は夏服よりも露出度が下がるが、ミニの丈は5センチしか変わらない。バロンから見れば実質変わらない。単純に夏服のミニの丈が女子高生並みで短すぎるだけなのだ。プライベートビデオの提出は魔法戦士の常套手段であるが義務付けられていない。だが不思議とビデオの提出を渋った子たちは勝率が下がると言われた。だが実際にそれを裏付ける根拠はなく、私たちはその神通力にすがった。だが社会経験豊かな彼らが果たしてビデオに悩殺されるかどうかは未知数。私たちはまだしも伽耶と真麻は12歳児に過ぎない。だが聖隷騎士団を再結成した以上、バロンとの再戦は不可避。私たちはこのまま終わるわけにはいかないが、母娘で思惑が微妙に違う。娘たちが彼らを付き従える姿はイメージできないが、伽耶たちだって実戦を積み重ねれば必ず慾が出る。私たちは娘たちが自分たちと同じくバロンを尻に敷くことを期待した。