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サブイベント

「困ったなぁ。どうしよう」

 こそっと距離を置いたところから、木の根元にしゃがみ込んだ人物の様子を伺う剣士と魔法使いとハムスター。あいらんたち三人である。

「プレイヤーじゃなく、イベントキャラなのかな?」

「その可能性は高そうだぞ」

「ひとまず、声を掛けてみますか? イベントなら、ちょっとおもしろそうですし」

「そうだな。俺とスケがいるんなら、ちょっと手強い魔物でも倒せるだろうし。声、掛けてみるか」

「じゃあ、行くね。すいませーん。何かお困りごとですか?」

 木の根元にいたNPCが、声に反応して振り返った。

「あぁ。君たち、冒険者か。実は、大事な指輪をこの木の根元の穴に落としちゃってさ。風魔法があれば、指輪を穴から取り出せそうなんだけど・・・」

「風魔法か。僕は取ってないなぁ」

「俺もだな」

「夜叉丸は、完全に剣士系特化だもんね」

 スケは火と水魔法を取っているのだが、最初はそれでいいだろうと、全属性は取っていない。

「風魔法なら、取ってます」

「おお! それなら、風魔法でこの穴の中に落ちた指輪を取ってもらえないかい? もちろん、お礼はするから!」

「わかりました。じゃあ、やってみますね!」

 あいらんが木の根元にしゃがむと、風魔法を使用しますか?とポップが出てきた。

 はい、を押したところ、小さな風の塊で、穴の中の指輪を自分の方に引き寄せるミニゲームが始まる。ミニゲーム中は、時間によってMPが減るようになっており、あいらんはさっさと指輪を自分の方に引き寄せた。

「あ! 指輪が穴から出てきた!! 本当に助かったよ!! これはお礼だ」

 あいらんは、お礼として小さな水晶の指輪と、傷薬をもらえた。

「僕の名前はハンス。狩人のハンスだよ。家は街の北側にあるから、また機会があれば立ち寄ってくれ」

「わかりました。ありがとうございます」

 あいらんの街の地図に、ハンスの家の位置が記された。


「ところで、君は魅了持ちだよね? それなら、この平原では気をつけた方がいいかもしれない」

「? どういうことですか?」

「この平原には、嫁取りをしたくてたまらないモグラが住んでいてね。大きな穴を見つけたら、近寄らない方がいい。穴から出てきたモグラが君をさらう可能性があるからね」

「教えてくださり、ありがとうございます。気をつけます」

「うん、気をつけて。良かった、これで嫁さんを悲しませずに済むよ。それじゃ、またね!」


 ハンスが立ち去っていくと、スケは何か考え込んでいるようだった。


「多分、これサブイベントだったんだろうね。と、いうか、あいらんちゃんって、魅了持ちなの?」

「はい、持ってます」

「じゃあ、それがトリガーかな。多分、僕らその大穴を見つけられるかも。ちょっと探してみない?」

 スケが提案するも、夜叉丸は渋い顔をする。

「モグラ探しなぁ。あんま気乗りしねぇんだけど」

「ん? 珍しいね、夜叉丸が気乗りしないって」

「・・・だって、そのモグラって、つまりはあいらんちゃんを嫁に狙ってくるってことだろ? 戦闘になると本気出しちまいそうで。そうなると、あいらんちゃんに怖がられるかもしれない」

「まぁね。ほどほどに、としか言えないかも、それは」

「夜叉丸さん、今まででも、すごい動きだったと思うんですけど・・・あれよりもすごいんですか?」

 純粋無垢な眼差しであいらんが問うと、夜叉丸が言いにくそうに頬をかいた。

「夜叉丸の本気の立ち回りって、激怒とか、狂化を使った、防御ガン無視の特攻スタイルなんだよ。時間制限が来たら弱体化するのに、そこからの立ち回りも凄まじいから、素人が絶対に真似しちゃいけないスタイルなんだよね」

「ふわぁ〜、夜叉丸さん、すごいんですね!」

「その分、本気の戦闘スタイルは、はたから見るとすっげぇ怖いらしくて。あんま、あいらんちゃんには見せたくないな」

 戦闘モードに入った後で、さんざん色々と言われてきたことがある夜叉丸は、あいらんには嫌われるような真似をしたくないのだった。


 

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