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街中での出会い 1

一日一回更新を目指して、がんばります。

 気づけば、あいらんは大きな石碑のある広場に立っていた。手はちっちゃく、視界はいつも通りだが、周囲のプレイヤーからの視線がすごい。

 体の下を向いてみると、いつもよく見る、あいちゃんのような、ふわもこ毛皮に覆われた身体に、白いシャツとズボンのようなものを着ている。

 ステータスで、設定から装備のスケルトン機能のオンをすると、あいちゃんを大きくしたようなアバターがすべて現れる。


(動きにくくないし。これでいいかなー)


 さて、まずは情報収集で、いろんなNPCにでも話しかけようとあいらんは思ったのだが。


「ちょ、可愛い!! マジでやばい!! こんなのありかよ!?」

 あいらんの前で興奮したように叫ぶ男プレイヤーがいた。

「ちょ、落ち着いて。指指しちゃダメだって! 興奮してるのはわかったからさ。初対面のプレイヤーなんだから!」

「な、なぁ。あんた・・・いや、君もプレイヤーなのか? 良かったら、俺らとパーティー組まないか?」

「・・・・・・・・・ちょっと怖い」


 あいらんが興奮してるプレイヤーに引き気味になっていると、横にいた魔法使い風のプレイヤーが、あいらんを誘った男プレイヤーの首根っこを引っ掴んでいる。


「だよね。ごめん、悪いやつじゃないんだけど」

「だって! だって、ジャンガリアンハムスターなんだぞ!? まんまるもふもふなんだぞ? 可愛いんだぞ? こんなに可愛かったら、きっとすぐに声が掛かって、俺たちが誘う隙なんてなくなるに決まってる!!」

「いや、相手からしてみれば、見知らぬ男にすごい勢いで迫られてるように思えるから。僕らに例えると、いきなり知らない女の子たちから、「私たちと一緒にパーティー組みませんか!? ねっ、いいでしょ!? いいですよね!?」とか、すごい捲し立てられてるようなものだから」

「うっ」

「そういう感じです」


 あいらんが頷くと、男プレイヤーががっくりと項垂れた。


「だけど、ハムスター・・・可愛い・・・」

「ハムスターが可愛いことには同意します。しかも、ゲームの世界とはいえ、通常ではあり得ないほど大きな、人間サイズのジャンガリアンハムスターがいたら、そりゃ気になる人は気になると思いますから」

「そう! そうなんだよ!! うちにもさ、白雪って名前の、こっちはホワイトカラーのハムスターがいてさ! もう、可愛くて仕方なくて!!」

「うちは、あいちゃんって名前のこですね。ジャンガリアンなので。このアバターは、あいちゃんの姿を外部参照してキャラメイクしたんです」

「ハムスター、可愛いよなぁ」

「可愛いですよねぇ。可愛くなければ、わざわざこんなキャラメイクにしません」


 なんだかんだで、男プレイヤーと通じ合うあいらん。しばらく話したことで落ち着いたのか、自己紹介が始まった。


「さっきは興奮してたとはいえ、すごい勢いで話しかけて悪かった。俺は、夜叉丸。こっちは友人のスケ。俺の職業は剣士で、スケは魔法使い。そっちは?」

「私はあいらんです。職業は、愛玩動物っていう、多分ちょっと特殊な職業ですね」

「へぇ! なぁ、あいらん・・・さん? あいらんちゃん? どっちがいいんだ、スケ?」

「僕に聞くより、本人に聞いた方が良くない?」

「あいらんちゃんでお願いします」

「じゃあ、あいらんちゃんだな! 今日だけでも、俺たちとパーティー組まないか? せっかく俺らが最初にあいらんちゃんに声掛けられたしさ。あ、でもあいらんちゃんも、誰か友人と一緒にプレイする?」

「いえ、大丈夫ですよ。私はソロなので」

「え、いいんですか、あいらんちゃん?」


 スケがそっとあいらんを気遣ってくれる。


「実は、VRゲーム自体、初めてなので。初心者なので、色々と足を引っ張るかもしれませんが。それでもよければ、お願いします」

「じゃあ、あいらんちゃん。俺らとフレンドになっとこうぜ! そうしたら、俺らがログインしてる時は、いつでもあいらんちゃんと組めるし」


 こうして、ゲーム開始早々にあいらんは二人のプレイヤーとフレンドになったのだった。

お読みくださりありがとうございました(^^)

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