ソロ活動の弊害が!
夜叉丸たちと約束した、午後七時。冒険者ギルド前であいらんたちは再び合流した。
「あ、あいらんちゃん!? そ、その装備は・・・」
夜叉丸が、あいらんが背負っている、ふわもこ羊リュックと、腰にある、ふわもこ羊マスコットを見て、瞳を輝かせた。
「あ、そうなんです。実は昨日、ソロでふわもこスキルを使用する依頼を受けて。その時、最高級の羊毛がもらえたので、作ってもらったんです! 似合いますか?」
「うん。めちゃくちゃ可愛い。似合いすぎてて、天使かと思った。あと、俺に対して敬語はいらないから」
「あ! そうで・・・だった。あはは、すぐに変えるの、難しいかも」
「大丈夫! ゆっくり慣れていけばいいから! ・・・はぁ、可愛い。可愛いが限界突破してる。羊着ぐるみだけでもマスコット感すごかったのに、この三点セットはヤバすぎる。この可愛さを表現する言葉なんて、世界中、どこを探しても絶対にない。こんな可愛い姿が見られるなら、もう、俺、あいらんちゃんに全財産貢ごうかな・・・」
さすがに夜叉丸も学習したのか、後半部分はあいらんから目を背けながらの小声だったが、すぐ近くのスケは、ばっちり聞いてしまったりする。
「夜叉丸が、『あいらんちゃん可愛い!』に飽きる日って来るのかな」
「一生来なさそうだべ」
このメンバーでスケの愚痴を聞いてくれるのはガザンしかいない。ガザンの存在を、スケは心からありがたく感じる。
ひとまず、今日もボンツネガ平原の魔物退治を受けようかと、依頼が貼ってあるボードに向かおうとすると。
「あ、皆さん、来られたんですね。副ギルド長とギルド長から、来たら二階に案内するように言われているんです。こちらにどうぞ」
受付から、声がかかり、四人は再び二階の応接室でアミュレとミカエルに向き合うことになった。
「単刀直入に言う。今のお前らじゃ、正直レイナたちには勝てない。だから、俺とアミュレでお前たちの修行をすることになった。短期間で育成する分、キツイだろうが容赦してくれ」
チェインクエスト「アミュレとミカエルの修行」が発生しました! このクエストは、強制クエストです。
表示が示され、あいらんたちはアミュレたちに修行をつけてもらうことになったのだが。
「絶対に断る!」
「いや、そりゃできねぇ」
「嫌に決まってるだろ、あいらんちゃんと離れるなんて」
夜叉丸は、非常に不本意といった感じで、敵意剥き出し状態であった。それもそのはず。夜叉丸だけ、一人レベルが十五以上だったので、あいらんたちとは別で修行をすることになりそうなのだ。
ふーむ、と腕を組んでいたミカエルは、標的を夜叉丸ではなく、あいらんへと変える。
「なぁ、嬢ちゃん。男なら、腕っ節が強い方がカッコいいし、モテると思わねぇか?」
「モテると思います!」
ピクピク、と夜叉丸が反応を示す。
「俺と修行すれば、確実に強くなるんだが。本人が断ってるしなぁ。だけどもよ、強くなった夜叉丸がパーティーにいたら、心強いと思わねぇ?」
「思います! 夜叉丸さんは、今でもすっごく頼りになる、カッコいい前衛です!」
あいらんがほめちぎると、夜叉丸がすごく嬉しそうな、困ったような表情となる。
「だったら、今より修行で強くなった夜叉丸だと、嬢ちゃんから見て、『もっと頼りになって、もっとカッコいい前衛』ってことになるわけだな」
ミカエルの一言が止めとなった。
いつの時代も、男は好きな女には褒めてほしいし、そのためにはいくらでもがんばれてしまう生き物なのだ。
「くっ。仕方ない。わかった! 俺は一人別で修行を受ける!」
ミカエルが破顔した。こうして、ミカエルと夜叉丸、アミュレと他の三人というチーム分けで、レベル上げと修行を行うことになったのだった。




