前準備 1
一日一回更新を目指して、がんばりまーす。
「ふーむ。なるほどねぇ」
自室でネットサーフィンをしていた彼女は小さく呟いた。
最近、流行りのVRゲームをやってみたくて、彼女ー有栖川 蘭は色々と調べている最中だった。
彼女の後ろで、ガラスでできたケージの中の回し車がカラカラと音を立てる。
途端、蘭はネットサーフィンを中断して、すぐさまケージの前へと移動した。
そこには、クリクリの大きくつぶらな瞳をした、一匹のジャンガリアンハムスターが夢中になって回し車を回していた。
「くーっ! 可愛い!! 今日も可愛すぎる!!うちのこ、なんでこんなに可愛いの!? もう、天使!! あいちゃんラブ!! あいちゃん最高!!」
蘭が飼ってるジャンガリアンハムスター(♀)、名前は、あい。蘭はいつも「あいちゃん」と呼んでいる。「あいちゃん」は、蘭が初めて飼い始めたハムスターだった。飼い始める時は、本当に自分でいいのか、ちゃんと飼育できるのか、蘭には不安しかなかったが。
「ハムスターの寿命は、大体、ニ〜三年、か」
蘭はケージの扉を開けて、そっと、あいちゃんを手のひらに乗せた。
ふわりとした手触りと、小さな、けれど力強い温かさ。この温もりを失いたくないなと思いながらも、時の流れには逆らえない。
長くて、あいちゃんと一緒に居られるのは、あと二年程だろう。
「あいちゃん。あなたが、大好きだよ。いつも一緒に居てくれて、ありがとう。あいちゃんは私の宝物だよ」
そう、だからこそ。蘭はVRゲームで、少しでもあいちゃんの姿を残せないかと考えていた。
そんな中、新しく発売するVRゲームで、それが叶うことを突き止めた蘭は、早速そのゲームを予約した。
ゲーム名は、「Make another life on YUCARIA」。
その後、蘭は餌を頬袋にパンパンに詰めたあいちゃんの姿に何枚もスマホショットを炸裂させ、満足して就寝したのだった。
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