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初めてのふれあい

 私を軟禁していた大聖堂から華麗に脱出したあと、学園都市を目指して、森の中を進んでいた。


 「も、もうだめ……」


 お腹を抑えて、その場にしゃがみ込む。


 「おおーいいよーもっと首元叩いてー」


 森の精霊「ドライアド」を寝過ぎによって凝り固まった肩を叩かせるのに使うシルフィさん……四大精霊ってマジだったんだ


 「肩を揉ませるのは良いけど……なんで私の頭の上でくつろぎながらなんだよ!リクライニングチェアじゃねえぞ!」

 「あ"ーあ"ーぎもぢいいー」


 全く聞いてねぇし!こいつはいつもこうだ。でも、まあ、こいつがいるおかげで精霊達が力を貸してくれるから魔法が使えているんだけど……そんなことより、


「腹へったぁぁ!!」


 大聖堂を出てから何も口にしていなくて、しつこく鳴り続けるお腹を抑える。

 くそ!こんなことなら食料も奪ってくるんだったぁ!ついつい金貨と兵士たちを減り込ませただけで満足してしまった。

 あとは野に放たれた喜び!


 「ああー空からパン降って来ないかなー

どこかの精霊の力で学園都市まで風で飛ばしてくれてもいいけどー」

 「おおーいいよー今度は、だりひーね」


 右に頭を傾けてドルイドに反対の肩を叩かせる。


 「全く聞いてねえし!」

怒って腹減るだけので、再び、雪がうっすらと残る地面を踏みしめ山林を進む。

 もちろん!食糧を探しながら……冬だからあるわけねぇけどよぉ……


 「もういいよーおつかれさまー」


 ドライアドに帰っていいよと手を振るシルフィ。


 「し、しつれいしましたぁ!」


 ぺこぺこしながらドルイドは帰っていく。

 シルフィは手を振りながら、間延びした声で珍しく話をそのまま続ける。

 20文字以上はなかなか話そうとしないあのシルフィが!……金貨でも降ってこねぇかな?


 「この少し先にー街道があるよー」

 「……え!期待してなかったけど、まさかの役立つ情報!」


 ぐったりしていた私の顔に正気が満ちる。


 街道に出れば人に会える!

そうすれば、金貨を食糧に変えられる!


 自然と体は前のめりになり歩く速度は上がり、頂に着く頃には走っていた。


 「うっほーい!本当に道があるよ!やったー!」

 「よかったねー」


 眼下に見える石段で整備された街道が見えて飛び跳ねて喜ぶ。

 おそらく道を見ただけでここまで嬉しい気持ちになる人は私くらいだろうな。

 白粉によってうっとり美人と化した冬の山脈、森や動物達が織りなす景色など一目も見ずに道へと駆け出す。


 「今は風情よりも食い気!」

 「おおードライアドが少し怒ったねー」


 30分後……


 山を駆け降りた私は、


 「やめてください!お金ならいくらでも渡しますから!」

 「うるせー!金は当然もらうに決まってんだろ!こいつらエルフは高く売れんだよ!おい!1人犯して処女か確かめろ!」


 横転した黒塗りの馬車、頭から血を流した紳士服の四十を少しすぎたあたりのおじさんと私好みなナイスバディの美少女二人が大勢の男達に囲まれている場面に遭遇。


 「ひひひ!こいつにしようぜ!」

 「や、やめ……」


 男達は涎を垂らし、おじさんに寄り添っていた特に私好みのお姉さんに迫る。

 身を震わしながら、おじさんの背中に隠れる美少女。


 まずい!私好みのお姉さんが危ない!


 テレポートでお姉さんと男達の間……ではなく、お姉さんの後ろに移動する。


 「ふむふむ」


 両手に伝わるずっしりとした重み、それから、この張りとしっとりとした柔らかさは、これまで治療と称して数多の胸を触ってきた一品達の中でもなかなか……


 「結構なお手前で、お見それいたしました」


 綺麗な正座で頭を下げる。しっかりと敬意を持って。やましい気持ちは一切ない。

 ここまでの胸に出会えるのはこれから先、当分ないだろう。


 「え……え?」

 「な、なんだこいつ」


 恥じらうように顔を染めるお姉さん……

め、めっちゃかわええ!


 そして、引き気味の顔で私を見てくる野郎ども……君たち、女の子に好かれたいなら尊敬の心を持って揉まないと。


 「お嬢さん。素晴らしいおっぱいをありがとう。あとは私に任せなさい」


 私がお礼を伝えるとお姉さんはさらに顔を赤らめて両手で胸を隠す。


 可愛い!めっちゃ可愛い!何、その反応!


 紳士を心がけた笑顔を浮かべる私だが、内心ではお姉さんの反応をめちゃくちゃ楽しむ。興奮を隠せず鼻から赤い雫が垂れる。


 「な、なんだこいつ……気持ち悪いな……」

 「ど、どうします?お頭……」

 「いや、どうするったって……」


 お頭と呼ばれた男が私をジロジロ見てくる……気持ち悪りぃ視線だなぁ


 「綺麗な艶のある黒髪、整った顔に白くスラリとした手足……見た目は悪くねえ。一緒にさらっちまおう。おっさんは殺してかまわねぇ!やれ!」

 「へい!」


 一歩後ずさった男達は下卑た笑みを浮かべ、再び、迫ってくる。


 なんだこいつら。気持ち悪い笑顔だな。


 男達が迫ってきたことで、


 「いやぁ!来ないで!」


 と可愛い反応を見せてくれていたお姉さんが再び、怖がりだし、体を震わせる。


「お、お前達のせいでお姉さんの可愛い反応が見られなくなったじゃないかぁ!ーーーーテレポート!」


 怒りに体を震わせる私は、短距離空間移動で、まず迫ってくる先頭の二人の男に両手で下から掌打を放ち、顎をかちあげる。


 「ぐあっ」

 「はぐっ」


 その次に顎をかちあげた二人の男の間をすり抜け、後ろの男に前蹴り。


 「ぐぇぇ」


 足から軽鎧と肋骨の砕ける感触が伝わってくる。

 続きまして、その横にいる男の鼻先に左足のブーツをめり込ませ、テレポートで元の位置へ戻る。


「倒れろ」


 私の一言で白目をむいて地面に倒れる男達。

 手加減はちゃんとしているので死んではいない……と思う!わからん!多分!大丈夫!


 「ば、化け物だー!」


 仲間を放って男達が逃げていく。

 しかし、お頭と呼ばれた男だけは逃げ出さずにその場に残る。


 「おい!背を向けて逃げるな!狙われるぞ!」


 まともなことを言うお頭さん。


 正解です!でも、そんなの関係ない。

そもそも私の動きについて来られていない

様子の奴らだ。向かい合っていても結果は同じ。


 テレポートでお頭と呼ばれる男の懐へ移動し、どうするか?と腕を組んで考えた結果、とりあえず両手で頭を持って揺らす。


 その次に逃げ出した奴らの後ろ首に掌打を当てて気絶させていく。


 「お怪我はありませんか?」


 掃除終了後、意中のお姉さんに駆け寄る。

 邪な気持ちを持ってはいけない。自分を律して紳士な気持ちを忘れずに接するべし!


 「あ、ありがとうございます」

 「困った人を助けるのは当然の事ですよ」


 それでは……と立派なお胸へ近づこうと手を伸ばした時、「旦那様!」とお姉さんは頭から血を流して倒れ込むおじさんに駆けていく。


 「ふ……大丈夫さ!私には自分のがあるから!」


 自分の胸を揉みながら、倒れ込むおじさんのもとへ


 ん?初めに見た時は何ともないように思ったけど、


 「透視」


 おじさんの頭を透かしてみるとおそらく馬車が横転した時に激しく頭をぶつけたのだろう。側頭部に血の塊が見える。


 「ちょっと、ごめんなさい」


 寄り添うお姉さんたちの胸に触れながら引き剥がし、おじさんの顔を覗き込む……うほー!幸せだわぁ!


 「な、何するんですか!」

 

 怒鳴るお姉さんたちを脇に置いて、その感触を楽しみながら診察を開始。

 弱っていく呼吸と脈etc……うん!何とかなるかな。


 光魔力を纏った手を患部に当てて、血の塊を体外へ取り出し、傷ついた血管達を修復する。


 「よし!お姉さん!何か枕がわりになるもの持ってきて!そこのお姉さんは布団の代わりになるものを!ーーほら!早く!」


 固まっているお姉さん達にはっぱを掛ける。


 「「は、はい!」」


 お姉さん達は慌てて馬車へと向かう。

 私は、天を仰ぐおじさんの向きを横向きにして、亜空間から自分の服を出して折りたたみ、枕がわりにする。


 それから、戻ってきたお姉さん達に後のことを任せ、倒れる男達の元へ。

 前蹴りで肋骨を折った男は瀕死だったので、回復魔法を使用し、全員の腕を縛る。


 「後はーーおお!めちゃくちゃ持ってるね!」


 男達の懐からお金の入った小袋を取り出す。

 結構な重み。紐を解いて口を開ける。

 袋の中から放たれる銀色の輝き。

 いいねぇ!お金はいつ見ても良い!


 「要は済んだしーー爆風!」


 男達を風で山の奥地へと吹き飛ばす。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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