初めての入学式
桜が散る校門前。
「おお!これで私も晴れて学生になるのかぁ……」
少し前までお祈り、お勤めで気がつけば1日が終わっていた日々から野に放たれて、ついハメを外しすぎてしまったけど友達と通う学園かぁ……また一つ夢が叶った。
隣にいるエマ達を見て笑顔になる。
聖国にいた時は、大聖堂から治癒院まで目隠しされ手錠をはめられ、馬車に乗せられていた。
そんな馬車の中から学校へ通う同年代の子達の声を毎日のように聞いていた。
自分もいつか……と思っていて、やっと自分も憧れていた世界にこられた。
「あ!受付あったよ!」
「おお。本当だ。校舎でやるんだな」
校門正面にある体育館の横に受付が設置されて試験の時に見かけた試験官がちらほら。
「早く行って受付済ませちゃおう」
私たちは校門をくぐり受付へ。
「……ん?」
そんな時、
「ちょっと来いよ!」
「やめてよ!」
「やめてよ!って、女かよこいつ」
「うぜぇ」
と、体育館裏へと消えていく4人の男子が見えた。
「おおー不穏な空気だったねー」
さっきまで寝ていたシルフィが目を覚ます。
気持ちよさそうにねやがって……誰に似たんだろな。
「あの連れられていった男子は確か……」
どこかで見たことあるような特徴的な眼鏡男子……
「ああ!試験の日に困ってた私にお金をくれたいいメガネだ!」
「おおーずいぶん都合のいい記憶になってるねー」
すかさずシルフィにつっこまれてしまった。
いやいや。バレてないからセーフでしょ。
それにしてもいろんな奴に絡まれる奴だな。
「しょうがねぇな……」
受付をしているエマ達に
「ごめん!ちょっと稼いでくるー!」
と、一言伝えてから体育館裏へと走る。
「がっぽりなー!」
「入学式にはちゃんと来なよー」
2人に背を向けたまま手を振り、颯爽と体育館裏へ。
やったぜ!臨時収入!
角に到着した所で停止。
そっと顔を出して状況確認。
「俺たち、ちょっとお金に困ってんだよ」
「大商会の跡取り息子なら結構もらってんだろ?」
「悪いけど……有金。全部よこせ」
メガネくんは3人のいかつい男子達に詰め寄られていた。
こいつらバカだな。私ならもっと上手くやるの……ぐふん!
咳払いを一つして、3人の男子の服を確認する。
「仕立ての良い服だな。良いところの坊ちゃん達が調子に乗ってるってところか……よし!」
私は隠れるのをやめて姿を晒す。
「お前達!そいつは私の財布だ!金を奪いたいなら私に断ってからにしろ!」
この後のお決まりの返しを待っていてやるほど暇ではないので手っ取り早く殺気をぶつける。
大気がうねり肌を指す空気と圧迫感が3人の男子を襲う。
「ひ!」
「あ、あわ!」
「な、なんだよ。このプレッシャー!」
お!やるな!この位の殺気なら耐えるか……なら、もう少し強くしよう……とう!
「ひっ!」
「あっ!」
3人の男子のうちリーダー格の男の腰巾着と思われる2人の意識が事切れる。
「くっ……あぶねぇ!」
リーダー格と思われる男子だけはなんとか耐える。
よし!予定通りだ!
思い通りに行っている状況に飛び跳ねながら嬉しさ全開で近づく。
「く、くんじゃねぇ!化け物!」
「ふっふっふっ……やーだよ!」
顔を近づけてやる。
よし!サービスだ!
可愛いウインクをキメる。
「ひっ!」
なぜかわからないけど私のウインクを受けて倒れるリーダー格の男。
「……おい!なんでウインクで気を失うんだよ!さすがにクズな私でも傷つくぞ!」
激しく揺さぶる。
が、泡を吹き始めた。
だめだ、こりゃ。
その場に捨てる。
「よ!久しぶり!メガネくん!」
呆然と立ち尽くしているメガネくんに挨拶しておく。
その間に気絶してる男子達の懐から財布を取り出す。
「お!結構持ってんじゃん!これだけあんならかつあげなんてする必要ねえじゃん!バカなのかこいつら……」
3人の財布の中には金貨十枚、銀貨二十枚入っていた。
そのうち、数枚の金貨を取り出してメガネくんに渡す。
「これは私からのお礼……君が絡まれてくれたおかげで稼げたから……もちろんこのことは秘密で頼むな♡」
サービスで可愛くウインクしてやる。
「……ひっ!」
しばらくしたらメガネくんは気絶して倒れる。
「おい!一体、私のウインクに何があるって言うんだよ!後日、実はハートを射抜かれすぎた反動で気を失いました!好きです!って言ってきても相手にしてやんねぇからな!」
気を失う4人を放置して式会場へと向かう。
全く!これでも治療するときにはウインクを求められたこともあった程の美少女だと言うのによ!
「悪魔のウインクー4人撃沈ー」
「うるさいな!これでも傷ついてんだからね!少しは励ましをくれ!」
「おーおー眠いねーzzz」
「くぅ!マイペース!」
一応、肩で寝かせておくのも可哀想なので亜空間に放り込んでおく。
まあ、目が覚めたら勝手に出てくるから良いでしょ。
「……まーて」
玄関から校舎へ入ろうとした私の肩を誰かが掴む。
なに!戦闘力53万の私に気配を感じさせずに接近しただと!
振り返る。
「……ってリサかよ!」
「おい。リサじゃないだろ。理事長と呼べ!ギャンブル酔いどれ聖女」
デコピンを喰らわされてしまった。
むう……なぜ私がギャンブルにハマっていることがバレているんだ。内通者でもいたのか?
「内通者なんかいるわけないだろ。この街の情報ならなんでも入ってくるだけだ。朝帰り二日酔い聖女」
「ちょっと言い過ぎじゃないか!独身理事長!」
なぜかリサと睨み合う。
「……と!こんなことしてる場合じゃなかった!」
いすまいを正すリサ。
「お前!さすがにやりすぎてるから自重してくれ!たまに苦情が私のところまで来てるからな!」
人差し指を向けて本当に怒っているときにしか見せない顔で怒鳴る。
「頼むぞ!守銭奴聖女!……それから「洗礼」には気をつけろよ!」
それだけ言い残すと校舎の中へと歩いていった。
「……おかしいな。そんなに悪いことしたか?……覚えがないぞ」
首を傾げながら私もリサの後を追いかけて式会場へと向かう。
「苦情が来るほどのこと……わからん」
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