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真神聖……ブリブリ王国 -1-


此度こたびはお救い頂き、本当にありがとうございます!」


 美しい少女は丁寧な言葉遣いで頭を下げる。


 少女を背負い、廃村から逃げて三十分。

 俺と少女は森の中にいた。


 廃村で何度かゴブリンに遭遇したものの、強行突破。特に追手も無く、大丈夫だろうということで休憩している。


「私は真神聖ブリフィリス王国王女のソフィア・リ・ブリフィリスです。貴方様の名前をお教えいただけないでしょうか?」


 しんしんせい……ブリブリ王国? 何を言ってるか分からないが、とてもしっかりしている少女だ。


 見た目は高校生ぐらいなのに、言葉遣いといい所作といい、お嬢様という雰囲気がする。


「俺は蓮見士郎、三十路です」


「……ミソジ、ですか?」


 どうやら三十路を知らないみたいだ。十代なら知らなくてもおかしくはない。


「三十歳という意味です」


「そうなんですね。では、ハスミ・シロウ様。この御恩は必ずお返しします」


 深く頭を下げる少女。


 軽い自己紹介は終わった。それなら俺がするべきことは一つ。


「聞きたいことがあるんですが、いいですか?」


 ここはどこなのか。なぜゴブリンがいるのか。目を瞑ると浮かび上がる文字はなんなのか。


 それらの疑問を解決しなければならない。


「はい、私に分かることであればなんでも」


 それから俺は少女にこの世界について聞いた。


 返ってきたのはどれも突拍子も無い話。それらをまとめると、



 この世界は『エルデ』といい、魔法の存在するファンタジー世界だということ。もちろん、地球や日本は存在しない。

 ゴブリンはエルデに存在する人類の敵・モンスターの一種であり、集団で人間を襲う厄介な性質を持っている。

 目を瞑ると浮かび上がる文字はステータスで、個人の能力が可視化されたもの。

 そして、エルデはステータスの高さが物を言う、ステータス至上主義であること。



「マジ、か……」


 驚愕の事実に頭を抱える。


 ちょっと怪しいと思ってたけど、日本どころか地球ですらないなんて。エルデというのも聞いたことはないし、ゴブリンが存在していたら今まで知らないはずはない。


 当たり前だけど、目を瞑ってステータスが出たのも今日が初めて。


 ここが異世界だと納得するには十分すぎる情報だ。


「異世界から、来られたのですね……」


 少女に色々なことを聞いた後、俺はこちらの事情も話した。


 どうやらエルデの方でも異世界から来たという話は聞かないようで、俺が異世界の人間だということを知って戸惑っている。


「その、もし良ければステータスを確認させていただけないでしょうか?」


「確認? 言えばいいですか?」


「あ、いえ。その……後ろを向いて、服を捲し上げてもらえれば」


 どうやら他人のステータスを確認する方法があるみたいだ。


 言われた通り、俺は後ろを向いて服を捲し上げ、背中を晒す。



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