ここはどこ? 私は——蓮見士郎。 -1-
「…………んっ???」
急な展開に頭が追い付かない。
とりあえず辺りを見渡すと、分かるのは草原地域だということだけ。
「一旦、整理しよう」
アパートの自室で黄昏ていた。
仕事帰りだったから夜は暗かった。
目を瞑って気づいたらここにいた。
アパートの近くに草原は無い。
そして、今日は俺の三十路の誕生日。
「いや、三十路の誕生日はどうでもよくて」
整理して分かったのはどこかに移動したことくらい。
その理由や原理も分からない。けど、確かにどこかに移動している。
夢か? と思いついて、強く目を瞑る。
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名前:シロウ・ハスミ
性別:男 年齢:三十
魔力
「っ!?」
目を瞑った瞬間に浮かび上がった文字に驚いて目を開ける。
なんだ、今の。途中までしか見えなかったけど、俺の情報だったような。
俺はもう一度目を瞑った。
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名前:シロウ・ハスミ
性別:男 種族:人間 年齢:三十
物理攻撃力:999 魔法攻撃力:999
物理防御力:999 魔法防御力:999
魔 力 量:999 精 神 力:999
命 中 率:999 俊 敏 性:999
運 力 :999
『スキル』:
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「……ゲーム?」
一言で表現するなら、ステータス。
はっきりと見えるから間違いじゃない。スキルという欄があるけど、何も書いていないということはスキルは無いってことか?
「参ったな、これ。あんまりゲームとかやらないんだけど」
趣味は運動。それは幼い頃からで、ゲームに触れることはあまりなかったからステータスということしか分からない。
『999』という数字は高そうだ。だけど今までこんなの無かったし、信用するのは危険だろう。
「とにかく誰かに聞かないと」
一面に広がる草原の、さらに奥を目を凝らして見る。
まるで高性能な望遠鏡のように遠くがハッキリと見えて、視界に映ったのは石壁と壊れた門。
よく分からないが、建物なのは間違いない。
俺は運動がてら、建物に向かって走り出した。