表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

二話 思春期と後悔と恋心

今まで溜まっていた涙を全て流し終わると愛梨が優しく声をかけた。「かずくん落ち着いた?」「うん、ありがとう。もう大丈夫」お互い一息着くと「ねえ。かずくん家族のお葬式の事だけど、明日だって聞いてる?」「え!いつの間に決まって、!?」突然のことで頭が真っ白になるが冷静に考えてみると家族が亡くなっておおよそ5日…当然だった「親戚の人たちが連絡したり家に尋ねたらしいけど出なかったから伝えられなくて…。」「そうだったのか…ごめん、誰とも話したくなくて、」「大丈夫!かずくんは悪くないから。悪いのは、悪いのは!ッ…」愛梨は何かを言おうとすると歯を食いしばり言いかけた言葉を涙を堪えながら止めた。

一日が経ち家族の葬式が始まった。見えはしなかったが。あの箱の中には父と母と妹の首だけがあるのだろう。想像し、気分が悪くなる。僕は葬式を抜け、家族にそっぽを向いた。外に出ると雨が降っていた。庇の下で座り込むと地面を弾いた雨が足に掛かる、水たまりに反射する僕が目に映る。情けない奴が、そこには居た。あの日、家族が死んだ日。僕は…


「6日前」


いつものように朝が来て、開きづらい目をこすりながら。リビングに行く。

「おはよ。兄ちゃんッ!」本当に寝起きかよ。とツッコみたくなるほどの元気な挨拶をする妹。料理を作る母。テレビを見る父。いつもの風景だ「おはようさん。元気やね~宝くじでも当たったんか」っと冗談を呟く。「お~夢あるな」父が微笑みながら呟いた。「違うよ!。忘れたの!?」ん?俺はきょとんとした表情を向けると。少し悲しそうな表情を向けて来たが。直ぐにいつものうるさい笑顔に戻った。「まあ。いいや。今日はお母さんと一緒に料理するんだ!えっへん!!」いったいなんのドヤ顔なんだ。と言いたくなったが、そっと抑える。「へぇ~あれ。かえでお前料理得意だっけ?。」「全然!」いやまじで何のドヤ顔だったの?「は~い。ご飯できましたよ。」「お~今日はベーコンエッグか!」父はベーコンエッグが大好物なようだ。まあ。それの遺伝だろうか。俺の大好物でもある。テレビの天気予報が流れる中で家族団らんの合掌をした。「いただきます」ご飯を食べていると、番組の星座占いが始まった。(日曜日!今日の一位は!やぎ座)「ほお~まじか。俺一位じゃん。」「えー!いいなー!!私も一位なりたかった!!やぎ座に生まれてこれれば良かったのに~!」ま~たこいつは滅茶苦茶なこと言っとるよ。今日だけの話だろう。それとも何か…お前は一日一回一位の星座にならんと気が済まんのか。まあ、そうなのだろう。…この星座占いを見て。こいつがごねた回数おおよそ2218回。ああ、もう毎朝の日課だよ。馬鹿野郎。

雨の音が鼓膜を響かせる

(あの日は……楓の誕生日だった…覚えてただろうッ何で…何で!!…忘れたふりなんてしたんだよ。「…馬鹿野郎ッ」雨の雫が鼻先をかする。水たまりに映る自分を罵る(毎日の日課だったんだ…あの幸せな日々が。)目の下を赤く染め上げた僕の隣に、愛梨がそっと隣に座る。ただ何も言わずに黙って、沈黙の中数秒が経ち僕が口を開いた。「ねえ。愛梨、何で家族は死んだの?…家族は何で死ななくちゃならないの」愛梨に聞いたってわかるはずないのに僕は彼女に感情を当てつけるように吐いた。そんな僕に愛梨は優しく囁く。「何か理由があったんだよ…。だって!じゃないと。あの人達が報われない。」彼女は俯き。声を嗄らした。そんな彼女を僕が見つめていると、愛梨は微笑み。また言い放った。「ねえ!お爺ちゃんが言ってたんだけどね。神様は理由もなく人を殺さないんだって。」「そう、なの?理由?。」「うん…きっと。ね?。理由があるからって家族が居なくなっちゃうのは私は嫌だけど。多分。一仁の家族が事故にあってなくちゃ世界が終わってたかもしい。そう、そう現実逃避してみると少しは楽になるかもしれない…。でも。私は神様なんて大っ嫌いだよ。どんな理由であってもかずくんの家族を奪った神様が大っ嫌いだ。」彼女は相変わらず不器用だ。慰めたり嘘をついたり。そう、嘘の笑顔も苦手だった。彼女は涙を流しながら頬を引きずった笑顔を僕に向けた。それに釣られて僕も微笑んだ出来る限り満面な笑みを上がりづらい頬を無理やり引っ張って。(神様。彼女に出会わせてくれてありがとう。でも。僕は、やっぱり。)「そうだね!神様なんて大キライだ。」心の奥底で言い出せなかった言葉が口からこぼれ出る。ぽっかりと空いていた心が埋まって行くような感覚に落ちいった(ああ僕はやっぱり君が好きだよ。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ