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一話

神様。あなたは僕が嫌いですか?いつも思うことが頭の中でうごめくように巡る。

何故こんなことを考えてしまうのだろう。いや、理由はあるんだ。「4年前」僕、中村一仁(なかむらかずひと)が13歳の頃。家族が事故にあった。

父と母と妹の三人は車でドライブをしていたらしい、事故だった。目の前を走っていたゴミ収集車に家族の車は激突し、さらに不幸が訪れた。ゴミ収集車は激突の衝撃で不具合をお越し、車から飛び出た家族はグチャグチャになり頭だけが綺麗に残ったらしい。それを聞いた当時13歳中学一年生の俺は電話を片手に嘔吐した。電話からは心配する声が聞こえる。「大丈夫ですか!?」「は、はい…大丈夫です」「お悔やみ申し上げます。」電話を切り歯を食いしばった。皆ッ、、「プルプル」「プルプル」また家の電話は鳴り響いた。「もしもし」即座に電話に手を伸ばした。電話の奥から聞き覚えのある愛おしい声が聞こえた。「もしもし!かずくん!大丈夫!?…じゃないよね。お悔やみ申し上げます。」幼なじみの姫際愛梨(ひめぎわあいりが泣きそうな声で電話をかけてきた。「ありがとう。あいり。でも。今は誰とも話せる気分じゃないから切るね。ごめん。」「か、かずくん!ちょっとまっ。」何かを言おうとしていた愛梨を遠ざけるかのように電話を切った。「今は、誰とも話したくないんだ…。」その後も知らない電話番号から何度も電話がかかって来たが出る気力も無く。ただ呆然と電話のアラームと同時に点滅するボタンを見続けていた。目が乾き切るまでただジッと見つめた。もう、どれだけの時間が経ったのだろう。辛くても空腹は襲ってくる。毛布を被ったまま数日ぶりに冷蔵庫を開けに行く。中には綺麗に作られたチキンライスの上に不器用ながらも頑張って作ったであろう焦げた卵を載せたオムレツがあった。「チキンライスを作ったのがお母さんで卵がかえでか」独り呟いた。電子レンジの機械音が響く。温まったオムライスが湯気を放つ。一口頬張る。…「ああ、美味しいよ。」皆の前で言うはずだった言葉を虚無に話す。もちろん返事は返って来なかった。虚しさだけが残る空間で一つ。コンコンとドアをノックすり音が聞こえた。家族が死んでからは色んな人が法網して来たが。話したくない僕はただ、息を潜めた。いつものように時間が経てばどっかに行く。と思っていた。だけど閉まりきってたはずの扉がガチャリと音を立てじめついていた家を新鮮な空気が入り込む。そこから愛梨の声が聞こえた。「かずくん!」「あ、あいり!…。」ガラついた声を上げる僕に愛梨は「大丈夫!」と言い放ち僕に優しく抱きつき包み込む。「もう、大丈夫だから…。」彼女は泣いていた。何故泣いているのだろう…。何故君が泣いているのだろう。分からない。でも疑問を全て薙ぎ払いただこの一言を君に言おう。「ありがとうッ…。」僕は泣いた。家族が死んでから出てこなかった涙が溢れるように流れる。愛梨は涙を止め、言った。「かずくん私がついてるから!一人でいなくていいんだよ。辛い時は私がそばにいるから、ね?大丈夫もう大丈夫だよ。」僕はそっと彼女に答えるように抱きしめ返した。ああ。神様。彼女に出会わしてくれて。ありがとう。


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