ステージ0(B1)
木の葉が乱れ
幹がえぐれる
コ:まったく、これじゃ森がめちゃくちゃだよ!
ク:ガタガタ!
コ:その通りなのがむかつくよね!
幾度となく刃を交える
速度は獣人が勝る
しかし、
コ:君、戦いに慣れてないでしょ?
ク:ガタガタガタ……ッ
コ:欲望のままに暴れてるだけだとしたらそこまでだよね。いいセンスしてるのに勿体ない。これで人間だったら
ク:ガガガガッ!
コ:来世に期待するこった!
肩から力を抜き
次なる一手を見抜く
コ:……さあ、これで終わりにしよう
ク:グガガガアアアアッッ‼
コ:来いッ!
獣人は足元に力を溜めこんだ
前触れもなく爆発的に飛び出す
彼はただ見据えるだけだった
コ:――――そこだッッ‼‼
双方から襲い来る死神の鎌を見切り
腹部に踏み込む
ガギイインッ
コ:な……っ⁉
背中とは異なり、柔らかい腹部を貫くことはたやすい
そのはずだった
堅い
腹部が背中と同等の硬度に変化している
その隙を獣人は見逃さなかった
ク:ガガガガッ!
ブシャアアアアアアアっ
血液を彷彿させる透明な液体が体内から溢れ出す
勝敗は明らかだった
――――コクメの剣が獣人を貫いている
ク:……ガ、ガ……?
コ:びっくりしてるね。驚きたいのはこっちのほうだよ。まさか身体を硬質化させる奥の手を持ってたなんてさ
ク:グ、グ……
コ:今頃ボクはその鎌の餌食になってたんだと思う。うん、そんな未来もありえただろうね。でも、そうはならなかった
コ:ボクの一撃に君が耐えきれなかった。それだけさ
ドサっ
傷一つない透明な剣を引き抜くと
獣人は力なく倒れ込んだ
一歩、もとの自分へと近づく
ステージ0(C)へ