ステージ0(A2)
砂ぼこりが舞い
火花が散る
コ:背中は堅いか! まるで鎧みたいだね!
カ:クカカカカッ!
コ:えっちい鳴き声をやめてくれたおかげで戦いに集中できるよ!
ギギギギンッ
コ:ボクはただ額のツノ一本に集中していればいい。サイみたいに突進することでしか戦えないようで助かったよ
カ:クカカッカ……
コ:まあバケモノに言葉は不要だよね
深く呼吸を整え
全身の神経をたたき起こす
コ:……この一撃で決める
カ:クカカカカカッッ‼
コ:速い……ッ⁉
獣人の速度が急激に上昇する
不意を突かれた形になるが
コ:……見えた‼
力のベクトルを流すイメージだ
ツノの勢いに抗うことなく、横へと受け流す
それと同時に
コ:とどめだあああああああああッ‼‼
柔らかい獣人の腹部を狙い
絶命の一撃を与える
ブシュアアアアアっ
血液を彷彿させる透明な液体が体内から溢れ出す
勝敗は明らかだった
カブトの獣人は両腕から二本の槍を伸ばし
コクメがいたはずの空間を突き刺していた
それでは彼は串刺しにされたのか?
否――――獣人の背後にいる
コ:まさか頭のツノだけじゃなく腕からも武器を出せるなんてね。少し遅かったら不意打ちにやられてたよ
カ:――――っ
コ:じゃあどうして背後に回ったかって? 君の背中は鎧みたいに硬いからがボクの攻撃は通じない、それはそうだとも。じゃあ、背後から背中以外の部分を斬ればいい
コ:――――たとえば君の首とかね?
ズシュリっ
カ:
コ:ううん、もう首のない君に話しかけても仕方ないか。ごめん、ボクってば意外とおしゃべりらしくてさ
ドサっ
首のない身体が地面に倒れる。
コ:言ったでしょ、ボクは甘くないって
刃に付着した体液をぬぐい、
コ:君の敗因は一つ
剣をしまう
コ:一瞬でも勝ったつもりでいたから、だよ
一歩、もとの自分へと近づく
ステージ0(C)へ