ステージ0(A)
永遠と森は続く
人の気配はない
コ:も、もうだめえ……足が棒になって動けないぃぃぃ
ドサっ
コ:んおおおおお‼ どれだけ歩けばいいって言うのさ、そもそもこの道で合ってるわけ⁉ この道を選んだ人はちゃんと根拠を持って選んだんですかね、まったく。――――あ、選んだのはボクか。てへっ
レ:控え目に言ってもキモイな、お前
コ:自覚はある
仰向けになって空を見上げる
雲がかかっているのか、木漏れ日の一つすらない
コ:ボクはいったい何者で、どうして洞窟なんかにいたんだろう
レ:なんだよ。急にカッコつけ始めて
コ:カッコつけとかじゃなくて、純粋な疑問なんだよ。ボクが何者で、記憶をなくすようなきっかけなんかがあったのかなって
レ:よほどショックなことでもあったんじゃないか
コ:記憶をなくすほどの出来事、だよね……
レ:こわいか?
コ:え?
レ:記憶をなくしたのは精神を保つための自己防衛本能が働いたからかもしれない。それを思い出すってことは……よっぽど恐ろしいことだろうよ
コ:本音を言うと……よくわからない。実感がないんだよね。ただ……
レ:ただ?
コ:……ボクを心配してくれる人がいたのだとしたらすごく、申し訳ないな……
レ:…………
静寂
風すらそこを通ろうとしなかった
ザザザザザザザザザザザッ
一転して、音がする
コ:な、なに⁉ 誰か、いるの?
飛び跳ねて身体を起こす
コクメはひそかに二人目の出会いを期待したが――――飛び出してきたのは"バケモノ"だった
コ:か、か、カブトムシ……にしては大きすぎない?
レ:――――獣人だ
コ:じゅ、獣人っ?
レ:人が未知のウイルスに侵された成れの果て。生きるのに莫大なエネルギーを消費することから人を喰らう。忌み嫌われた存在だ
コ:冷静に解説してくれてどうも! それで、獣人と出会った時の対処法は? 死んだふりでもすればいいのかな!
レ:全力で逃げろ!
コ:言うのが遅いよ‼
人型をしたカブトムシが彼を襲う
カ:クチュチュチュチュチ……ッ!
コ:ちょっ、あぶなッ⁉
護身用の剣でツノを受ける
コ:こ、こいつ……とんでもない力だ……ッ!
カ:クチュチュチュッ!
コ:その気持ち悪い口の音出すのやめてくれないかな。ちょっとえっちいよ!
ツノをはじき、剣で胴体に傷をつける
距離がひらく
コ:すごい……身体が戦い方を知ってるみたいだ。これなら、どうにかなるかもしれない……っ!
レ:お前強いんだな!
コ:遠すぎてなんて言ったか聞こえんわ逃げ足が早い!
カ:クカカカ!
コ:どこのどいつか知らないけど、ボクを襲った時点で倒される覚悟ができてるってことだよね
コ:――――ボクは甘くないぞ?
主人公が――――、
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