ステージ1(C3)
?:優しいんだね。それで、どっちのほうがいい?
コ:うーん……そうだなあ、それじゃ腕の傷を治してもらえるかな
?:うんっ
彼女が患部に手をかざすと優しい光が生まれた
不思議なことにみるみる痛みが引いていく
コ:すごい、本当に治っちゃった!
レ:これが天使の力ってやつなのか……?
?:……はあ、はあっ。足の火傷も治療できなくてごめんね
コ:だから謝らないで。君のほうこそ大丈夫なの?
?:うん、寝起きの状態で運動したようなものだから。少しゆっくりしたら落ち着くよ
コ:ごめんね、ボクのほうこそ無理させちゃって
?:謝らないで……って、ふふっ。なんだかおかしいね
コ:ははっ、そうだね
ズドンっ!
一段と大きな音がする
大蜘蛛が姿を現した
コ:なんでこんなにもはやく……ッ! 切り落としたはずの前足が再生してる⁉
蜘:キエエエエエエエエエエエエエエッ‼
?:あれが、あなたの言ってた……
コ:下がって……ッ!
?:……っ
コ:……大きな声を出してごめんね。大丈夫。ボクがどうなろうと君だけは必ず助けて見せるから
コ:だから、少しだけ待ってて
?:……うんっ
少女はレンゲにつれられ物陰に避難した
コクメが大蜘蛛と対峙する
コ:やあ、元気そうだね。そんなに興奮して、ボクのことが恋しかったのかな?
蜘:キエエエエエエエエエエエエエエ……ッ‼
コ:ちょっ、このタイミングで白くて粘着質な糸を飛ばすのやめてよね! 種付けみたいじゃん!
?:え……
コ:ほらあの子に引かれちゃったよ! せっかくかっこよく決まったと思ったのにさ!
蜘:キッショショショ
コ:鳴き方に悪意があるわ! もう怒ったぞ……ッ‼
治してもらった腕に血液を送り込み、柄を握りしめる
コ:十秒だ
足は痛むが問題はない
この剛腕で確実に切り落とす
コ:十秒ですべて終わらせる
大蜘蛛の懐へと飛び込む
蜘:ギエッ⁉
コ:うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ‼
全身全霊で彼の剣を振り切る
しかし
ズオオ――――っ
彼が斬ったのは大蜘蛛ではなく、空だった。
コ:避けられたっ⁉ 速さが足りなかったのか!
ずきっ
コ:ぐっ……。ここにきて足が痛むのかよチクショウ!
蜘:キショショショッ!
コ:がっ⁉
大蜘蛛は嘲笑うかのように彼を蹴り上げた
宙に放り出され、受け身もとれずに転がる
コ:げぼ……っ。く、くそ……こんなはずじゃ!
蜘:ペッペッ
ベチョっ
蜘蛛の糸に絡み取られるコクメ
コ:お前……ッ、ボクを動けなくしてどうするつもりだ
蜘:キキキっ
コ:……まさかっ!
大蜘蛛が彼から目をそらす
視線の先にいるのは……
?:え?
コ:逃げて! なんでもいいからそこから逃げるんだ!
?:……え? え?
レ:アンタは先に逃げろ、ここはオレ――――
グジュリっ
蜘:キシャシャシャシャシャッ!
主:レンゲええええええええええエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッ‼‼
そこから先の記憶はない
吐き気を催す後悔と懺悔の海に呑まれ
闇に沈んだ
LOST LIFE
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