ステージ1(A2)
走る。
走る。走る。
彼は無我夢中で吹雪の中を進んだ。
コ:はあ、はあっ。ここまでくればさすがに時間稼ぎにはなるよね……
雪の上に尻もちをつき一休みする。
コ:それにしても、あれはなんだったんだろう
電撃をおびた蜘蛛の糸が放たれた瞬間のことだ。
彼はたしかに見た。
遠くの方に穴倉があったことを。
コ:こんな雪原のど真ん中にあるのはおかしいもんね。もしかしてあそこに『天使』がいたりするのかな
…………
コ:いや、そんな漫画みたいな展開にはならないよね。わかってますとも、この世界はボクに厳しいってことを
…………
コ:言ってて悲しくなるな、うん……
…………
コ:まあぐちぐち文句を言ってても仕方ないよね。今はあいつを倒す作戦を考えないと……それにしてもレンゲの野郎はどこに逃げたんだか
ペチャっ
コ:……え?
不意な出来事に困惑する。
コ:これって雪じゃないよね……?
粘りのあるそれは間違いなく雪ではない。
糸だ。
蜘:キッショショッ!
コ:な、なんでもう! 足がない分、こんなに早くこれないはず……ッ
蜘:ギギギッ
コ:足が、再生してる……?
蜘:キエエエッ!
コ:そんなのありかよ!
機動力を取り戻した蜘蛛が彼を襲う。
コ:くっ、糸がくっついて動けない……ッ⁉
回避に努めようとするものの。
すでに時遅しだ。
コ:うおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――
吹雪の中。
場違いな咀嚼音がする。
LOST LIFE
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