ステージ1(A)
剣の柄にいっそう力を込める
今度の敵は見上げるほどにデカい怪物だ
コ:さてさて……どう戦えばいいのやら
生唾を飲みこむ
コ:ひとまずは機動力を奪うところからかな……ッ!
バッ――――
蜘:キエエッ‼
ザグザグッ
大蜘蛛は串刺しとばかりに鋭い足を器用に躍らせる
綺麗な雪が圧迫されて氷床と化した
コ:はあはあ……っ。そう簡単にいくわけないよね
蜘:キエエエッ!
コ:そんな図体してるのによく動けるもんだね! どうせならボクを背中に乗せて『天使』様のもとまで連れて行ってくれないかな?
蜘:キエエッ
ペッペッ
コ:あっぶなあ⁉ 蜘蛛だから糸とか飛ばしてくるんだろうなって警戒してて正解だった――――
ザジュリッ!
コ:ぐッ! 蜘蛛の糸で油断させておいて脚で斬りつけてくるとはね……ッ
コクメは『腕』に深手を負った
利き手ではないことが唯一の幸いか
コ:だったら――――こっちも不意打ちさせてもらうから
ゆらりと
コクメの身体が蜃気楼のように揺れたかと思ったら、
ズバアアッッ‼
蜘:ギガガガガッ
手前の両足を切り裂くことに成功した
コ:ふいい……っ。これである程度の動きは封じられたでしょ。あとは吐き出される糸に気をつけて切り込んで行けば……
その時だった
蜘蛛の赤い色の目だけがランプのように光る
直後
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオッ‼
燃え盛る蜘蛛の糸がコクメを襲った
コ:ちょっ、なにそれ⁉
慌てて回避したものの
あまりの驚きに足を滑らせてしまう
コ:くそっ……ッ!
なんとか横に転がりこむが
片足にも火傷を負う
コ:……ぐうううッ。こいつの好みがウェルダンでよかった。下手したら丸こげの炭にされてたところだよ……
蜘:…………ギギギッ
コ:なるほど、その目の色によって蜘蛛の糸の性質が変わるのか。どうせ黄色は電気で、紫が毒とかでしょ?
蜘:キエエエエエエエエエエエエエエッ!
コ:ぐっ!
バチバチバチッ!
コ:ふう、間一髪……。やっぱり黄色が光ったら電気なんだね。感電死なんて死に方はごめんだよ
蜘:…………ギギッ
コ:…………
前足を二本切り落としたのが思いのほか効いている
彼は二つの選択肢に迫られた
このまま戦い、蜘蛛にとどめを刺すか
ひとまず逃げて、作戦をたてるか
コ:……どうする。どうするボクッ!
蜘蛛の脚に斬られた腕の傷に、片足の火傷
彼は彼でダメージを負っている
このまま戦い続ける……ステージ1(A1)へ
ひとまず逃げる……ステージ1(A2)へ