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よくあるテンプレで俺はずっとプレイしていたゲームキャラ達と異世界に転移した。もちろん俺はそのゲームキャラとなっている。これは転移になるのか? 転生かもしれんがどっちでもいいだろう。
「団長ー、ここどこっすか?」
「わからん。とりあえず異世界だろ」
明るいテンションで話しかけてくるのは斥候職のギルバード。もちろん俺が心を込めて育てたキャラの一人で種族はハイホビット。
見渡せば仲間が全員揃っている、誰一人欠ける事なく異世界に来たんだろう。ぶっちゃけかなり心強い。
「団長様ー、私なんだか心細いなぁ」
今度の身振りを考えていると魔法職のエンシェントエルフが腕にしがみついてくる。名前はエーデリカ。こいつも一から育てたキャラであり性格は見ての通り腹黒く、ボン、キュッ、ボンのプロポーションを兼ね備えている。
「しがみつくな、乳に腕が埋もれてるから」
「やん、団長様お盛んなんだからぁ」
「エーデリカ、あざとい。団長に無駄な脂肪つけんな。団長は私の身体が好き、牛体型はお呼びじゃない」
するともう一人の魔法職の女、ユーナが逆の腕をとる。これが両手に華ってやつか。ユーナの体型はちみっこいロリだが、それでもつるぺたじゃなくて脱いだら意外とって感じだ。ちなみに種族は真魔族。
魔法職二人なんてバランス悪いと思うかもしれないがエーデリカはエルフ特有の精霊魔法と回復魔法専門、ユーナは暗黒魔法と攻撃魔法、召喚魔法とかが専門だ。
「お二方、トモキ様がお困りですよ?」
そこに割って入るのはデュラン。壮年のダンディなおじさまで執事服がよく似合う。立場的にはサポートメインだがイメージはなんでもできるオールラウンダーだ。ちなみに種族は悪魔公爵だ、定番だろう?
「それで? どうすんだ頭。ホームもねぇしここでじっとしてんのはアホだぞ?」
「ボレアスか。とりあえず人里に下りて情報収集だろう。幸いアイテムボックスが生きてるからしばらくは持つ」
古鬼人族のボレアスが蛮族さながらの口調で話しをぶった切る。職業はガチガチの戦闘職で暴れん坊だ。
「頭領、では行動に移るべきかと。日が落ちるまえに人里に入りたいでござるな」
龍人族の流浪人、ソリューが優雅に和服を着流しながら太陽を見上げている。やっぱ龍人族で侍は定番だろうよ。
「よし、装備の確認が終わったらあたりを偵察しながら動くぞ。ギルバードとエンジェ、頼むぞ」
「了解っす」
「わかりましたわ」
俺のメンバーの最後の一人、純天使族の女エンジェだ。純白な翼を生やして、白を基調とした装備に身を包んでいる、職業は戦乙女で攻撃、支援ができる。
そして俺、団長としてこのハイスペックな奴らを纏めている。種族はハイヒューマン、職業は創造主。
俺がやっていたゲーム【レギオン・クリエイト】は傭兵団の団長となり数々のクエストやダンジョンをクリアしていくゲームだった。
もちろん傭兵団のあり方は様々で数こそ全てと言ったチームもあれば俺にみたいに少数精鋭だったりする。
ネットゲームで廃課金者達のレギオン・ウォーはマジでやばい。それこそ大怪獣合戦で俺達なんかアリンコみたいに吹き飛ばされるだろうな。
まぁ、課金しなくても楽しめるしやり込み要素はかなりあってキャラ育成が好きな俺はのめり込んだってわけ。一から育てて、信頼度とか親密度とかあげたり、転生を繰り返して上位職になったり上位種族にしたりと。
まぁ、俺もそこそこ課金して団員全員最上位職で最上位種族なんだけどね。
「さて、そろそろ動くぞ。この世界で死ぬことは許さん。誰一人欠けることなく、絶対命令は死ぬな、だ」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
あたりを警戒しながら森を歩くこと数刻、ようやく森の出口が見えてきた。そして、目の前にはそこそこ大きな街が見える。
「ありゃあ辺境伯以上の貴族が治めてる領地っすね」
ギルバードが隣でつぶやくが、成る程な。貴族か、ゲーム内ではそこそこ面倒なキャラとして出てくるが…
「とりあえず街に入ってから情報収集だ。しばらくは自由行動でも構わん」
「っしぁ! なら早速酒場だな!」
ボレアスが歓声を一人あげるが仕事はしっかりしてくれ? それと問題はあまり起こすなよ?
「とりあえずデュランに金は預けておく。個人で行動してもいいし誰かと組んでもいい。一月もあればいいか?」
「そうですな。では私とギルバードはソロ、エーデリカとユーナ、それにエンジェの女性陣は纏まって行動を、ボレアスとソリューで組んでください」
まぁ、妥当な線だろうな。ギルバードとデュランは裏にも精通してるからな。
「俺も個人で動く。そうだな、駆け出しの商人って感じで行ってみるか」
「あんまり設定凝っても面倒だぞ?」
「まぁ、遊び半分だからね。それじゃあ各々任せた」
ボレアスの軽口を流しながら街へと歩みを進める、さて…どうなることやら。