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話の8:すわ!仲間集め(7)

「そんなに改まらんでも、一緒に行くぐらい。なぁ?」


 ウエインの真剣な眼差しを受け、らうが目配せしてくる。

 僕としては彼女がどんな理由で遺跡に潜ろうが関係ないんだけど。

 重要なのは実力の程。

 先刻の身ごなしからして、単純な素人じゃないだろう。それなりに戦闘訓練は受けているように思う。

 加えて、彼女が具える強靭な信念と遺物の力。この2つは目的達成の妨げにならない。きっと役に立つ。


「さっき見ての通り、僕は次世代品種セカンドだ。それでも構わないんなら、断る理由もないね」

「あ、それなら大丈夫。確かに次世代品種セカンドを見たのは初めてだけど、私は偏見とか持ってないから。寧ろ強力な味方は大歓迎よ」


 ウエインは顔の前で手を振って笑う。

 彼女の目に嘘はない。本心からそう思っているようだ。

 こんな人間は珍しい。それとも、単に世間知らずなだけか。


風皇ふおう君も、そう思うでしょ?」

「へ? ……あぁ、まぁなぁ」


 少女に同意を求められた劉は、頭を掻きながら生返事を返す。

 僕本人を目の前にして、公然と否定的な意見は言い難いのか。何かを考えている風だ。


「確かに心強いぜ。その力が俺達に向かない限りはな」


 軽薄な笑みの下、微かに潜む警戒と疑惑の陰。

 暗に僕の裏切りを示唆している。そう思われるのも無理はない。

 次世代品種セカンドは人々によって絶滅寸前まで追い込まれた。生き残りが、復讐心を持っている可能性は考慮されて然るべきだろう。

 けれど、それが僕にまで該当していると思われるのは心外。他の次世代品種セカンドはどうか知らないが、少なくとも僕にそんなつもりは毛程もない。


「僕が後ろから君達を襲うかもしれない、そう思っているのなら心配は無用だ。例え目的物を手に入れても、儲けを独り占めする為に協力者を攻撃するような無粋で礼儀知らずな真似はしないさ。そう言っても信じて貰えないだろうけど」

「やだな、誰もそんなの心配してないわよ。考えすぎだって。ねぇ、風皇君?」

「いやぁ、それはなぁ」


 僕の発言が、思いも寄らないという顔のウエイン。

 対して劉は、複雑な色調を表情に滲ませる。

 裏切るつもりの者が、それを最初から仄めかす事はない。そんな素振りを見せず、仲間であると思わせ、肝心な所で背後を突く。それが裏切りの常套手段。

 劉が僕の言葉を鵜呑みに出来ないのは当然だ。僕も無理に信じろとは言わない。どうするかは相手に任せるさ。


「……まさか、霧江きりえ君が本当に私達を襲うと思ってるの? 次世代品種セカンドだから?」

「ウエインお嬢さんは知らんだろうけどな、次世代品種セカンドにはそれ以外へ牙を剥く動機がある。俺だって次世代品種セカンドが全員反骨精神の塊だとは思わないが、可能性を考えるとなぁ」


 若干、攻めるような視線を注ぐウエインへ、劉は頭を掻きつつ苦笑を向ける。

 次世代品種セカンドの辿った道を知る者なら尤もな意見だ。無警戒な彼女の方が、この世界では少数派だろう。


「どうするかは劉、君が決めろ。君が僕との共闘を拒否するなら、それはそれでいい。仕方ない事だ」

「ち、ちょっと霧江君? 風皇君も、どうして……」


 僕等の姿勢にウエインは困惑している。面上に浮く焦りも濃い。

 僕とて彼女を困らせるのは本意じゃないが、不信感を抱いたままの劉と行動しても、事が上手くいくとは思えないからな。

 ここで彼がパーティー解散を提案するなら、僕もそれに意見するつもりはない。


「おいおい、ちょっと待てよ」


 呆れたような溜息を吐き、さっきからの苦笑をそのまま。

 劉は僕へと視線を投げてきた。

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