話の31:聞こえた声は(+1)
まただ。
また此処だ。
何も見えない。あるのは目が覚めるような闇。
全てを飲み込み、けして離そうとしない闇。
1点の光さえなく、何処までも深い闇の中。
私はまた此処に居る。
望んでもいないのに来てしまった。
これは夢なんだろう。
前に見た事がある、あの夢だ。
きっとまた聞こえる。誰のものか判らない声が。
きっとまた聞こえる。何の事か判らない訴えが。
きっとまた……
最初は遠く、掠れたように。
それが次第に傍へ。はっきりと。
向こうが近付いて来るのか、こちらが近付いているのか。
聞こえてくる。あの声が。
誰?
と聞いても、当然のように答えはない。
思い当たる者も居ない。
何一つ判然としないまま、私はただ声を聞くだけ。
物悲しさと強い感情を秘めた声。
嘆いているようであり、怒っているようであり。
これは、慟哭なのいだろうか。
……故郷……
……天ヨリ降リタ災厄……
……大キナル戦起コリ……
……ノもの、生命ヲ強奪セリテ……
……創世サレシ尖兵ガ……
……ぃるハ滅亡セン……
……失イシ我等……
……ル復讐ヲ……
……追跡スベク発チ……
……長キ時間……
……永久ノ果テニテ……
……青キ星ヲ見出シ……
……ヲ贄ニ誘キ寄セ……
……イザ報復ヲ……
……死ノ星ニ……
……備エタリシ封器ヲコソ……
……サレド敗北……
……最下ニテ……
……ヲ拘束セン……
……無量ノ力、尚モ……
……用イテ消滅……
……宿願ハ……
……未達ナレドモ……
……終エシ同胞……
……ママ自壊セシテ……
……天球ハ眠ラン……
……ドモ解放ナド……
……否デアル……
……断ジテ……
苦しい。
この苦しさは誰の物?
この辛さは誰の物?
私に……何をしろと……
判らない……何も……
判らない……