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話の12:準備しませう(二)

 参っちまうよな、全く。

 ウエインお嬢さんのような可愛い娘と一緒に冒険出来ると喜んでたら、得体の知れないオカマが付いてくる事になっちまった。

 しかもコイツ、俺に妙な色目を使ってきやがる。

 あの獲物を狙う発情期の獣みたいな目で見られると、俺の全身が総毛立つってもんだ。

 背筋に氷の塊でも突っ込まれたみたいに、ゾクゾクしてしょうがねぇ。

 ちぃ、思い出したらブルっときちまったぜ。

 赤巴せきはは、よく平然としてられるよな。自分が女顔だから興味持たれないと高を括ってるのか?

 その割にゃ顔の事とか言うと本気で怒るしよ。判らねぇなぁ。

 そいつはいいとしてもだ、元来に俺はオカマってのと相性が悪い。ガキん時の嫌な記憶が甦ってきやがる。

 そう、あれは俺がアウェーカーを始める前。まだ自分は擁護されて然るべき存在だと信じて疑わなかった頃。

 酒浸りでギャンブル好きのダメ人間丸出しなクソ親父の所為で、オフクロが消えちまって少しした頃だ。

 親父がある日、見慣れる奴を家に連れてきた。それが俺とアイツの出会い。そして…………

 ダァーーッ!! 止めだ止めだ!

 あんなクソ面白くも無い過去の記憶、俺の超絶黒歴史ナンバー1ファイル名「記名するのも反吐が出る」は、未来永劫大封印だっての。

 燃えないゴミの日に、チリ紙と一緒に丸めてポイしたいぜ全く。

 兎に角だ。俺はオカマって人種(?)に生理的嫌悪感を抱かずにいられねぇ。出来る事ならお近付きになんぞ一生なりたくなかったんだがな。

 それなのにだ。あろう事か一緒に行動するだと? へっ、冗談はよし子さんだぜ。

 だがウエインお嬢さんは、奴さんとの共闘を強く御所望である。俺が否定的な意見を言ったら、今まで見せなかったらオッカネェ目で睨んできたしよ。

 女性にあんな目を向けられるのは勘弁願いたい。本気で参っちまう。俺、女の子に怒られるとツイツイ回避策をとっちまうんだよな。自分を妥協して相手の言葉を汲んじまうのさ。

 しかも問題なのは、ウエインお嬢さんがこのオカマに全幅の信頼を寄せてるって事だ。

 兄貴の仲間をしてて、色々世話んなったって話だが。如何せん納得出来かねるね。

 お嬢さんのような健康優良少女が、臨界危険人物のオカマ野郎を慕うなんざ間違ってるよな。

 同じ尊敬の眼差しを向けるなら俺の方が断然イイに決まってる。

 まぁ確かに、腕っ節強そうでもあるし、俺よりも経験は豊富そうだ。悔しいがアウェーカーとしての実力は一歩譲らにゃならん。それは認める。

 だが色男レベルで見れば俺の余裕勝ちさ。

 可憐なお嬢さんが敬愛の念を抱くべきはアイツより俺の方だと、俺は声を大にして主張するね。

 とは言え、俺達は出会って間もない。いきなり俺へゾッコンになれってのも無理な話だ。

 俺という上物が傍に現れたとしても、今まで見てきたオカマにお嬢さんの目が行っちまうのは仕方ないか。

 と、くれば。これからの探索行動で俺の魅力を存分に振り撒き、彼女に気付かせてやらねばなるまい。

 あんな男にモーション掛ける変態なんぞより、真っ当な男の方が自分に相応しいって事を。

 これは責任重大だぞ。

 お嬢さんの閉塞した視野を開け放ち、常識的且つノーマル路線の明るい人生へ進ませられるかどうかは、この俺に掛かってるんだからな。

 そうと決まれば準備は怠れないぜ。これでもかってぐらい万全の体勢で挑み、俺のカッコイイ勇士を彼女のまなこへ焼き付けねばならん。

 おおっし、気合い入ってきたぁ!

 獅子奮迅の大回転大車輪大活躍で、ウエインお嬢さんを俺にメロメロ大作戦だ。

 やってやるぜ。見てろよオカマ野郎。覚悟してろよ月の遺跡。

 この風皇ふおうらう様が、底の底まで暴き倒してやっぜ!

 よし、まずは愛用の弾丸を纏め買いだ。500S&Wマグナム鐵鋼連弾と45APC貫通連弾。それから対精魔障抗貫徹弾アンチ・マテリアル・ブリッドを補充しねぇと。

 対魔弾はレアな代物だが、これだけ色々揃ってんなら置いてあるだろ。目玉が飛び出すぐらい高価だがよ、オカマ野郎が全部負担してくれるらしいから、見付けたら全部買ってやる。

 それから銃の手入れに必要な道具類も、新たに一式揃えておくのを忘れちゃいくまい。

 持てる物は可能な限り持って、悪名高い遺跡へ挑んでやらぁな。

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