13話)方言美女は……日本の宝だよね
「ほな行こかー」
軽い手振りつきで、歩き始める弥生さん。
僕達は、その後ろを着いて歩く。
「せや!暦君?ちょっとええか?」
少し歩いたところで、不意に弥生さんが振り返ってくる。
「なんかあったんですか?」そう言って僕は、少し前を歩く弥生さんに駆け寄った。
「いやなぁ。ほらあの女子二人組、凄い人気らしいなぁ。お陰さんであの後、入部希望者がアホほど増えてなぁ。まぁ全員追い返したんやけどな。」笑いながら話す弥生さん。
片っ端から入部拒否する部活とは……
いや心の底から感謝している。これで僕の学校生活のおける心の休息ポイントができたのだから。
「ご迷惑おかけしました。」素直な気持ちである。
「いやいや!ええんやで。困ったときはお互い様ってゆーやろ?せやから、まぁまたうちが困ったら頼むわ。あんたの彼女やとちと頼りないかもしれんしなぁ。」
さっきより一段と笑いながら話す。恩を仇で返すなよと言わんばかりに。。。
「勿論ですよ!もしもの時は、精一杯頑張りますよ」
僕はそう言いながら、元の位置に戻った
「何話してたのー?」
ニコニコしながら聞いてくる時雨に少しだけ。ほんの少しだけ。魔が差してしまった。
「ん?弥生さんのカップ数についてだよ。」
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「いっいや 勿論冗談だよ?部活についてだよ。ハハッハハハハハ」
沈黙に殺されるかと思った。黙殺されるところだった。
ひきつった笑いをしながら、そんなことを僕は思った。
「なんや楽しそうやなぁ。ほらついたで。初部活動や。なんやなんやそんな顔して。冗談の一つも通じへん女子はモテへんねんで~?」
弥生さんの言葉により、時雨と林檎の凍っていた表情が融解する。
いや神じゃん。女神じゃん。また恩を作ってしまったが、これは仕方ないだろう。僕がまいた種だから。
そして劇場に入る。劇場の中は大きな映画館のような作りだった。
席の並びは、弥生さん|時貞|林檎|僕|時雨
やばい!女神様が遠い。公演が終わるまで、僕は生きているだろうか…
「ど~もど~も~……」
一組目が出てくる。どうやら杞憂だったようだ。二人とも食い入るように見ていた。
さぁ僕も楽しもうかな!!
四組目が終わり……お!次は僕が好きなコンビだ。と心の中でテンションを上げる………!!
激痛が走る。痛い痛い痛い。右肩が重い。何とか首を動かしそちらを見ると、僕の肩を枕に、時雨が爆睡していた。いやいや速すぎだろ……諸悪の根源を起こ英手そうと、右腕を動かそうとするが…がっつり凭れ掛られていて、全く動かせない。
仕方なしに左腕を動かす。と
「どっどうしたの?暦さん」
僕の異変に気付いたのか、林檎か横から声をかけてくる。
「!!」僕の方を見てまた驚く。
これは事故である。永遠に続く痛みと、右腕が動かせない苛立ちにより、僕の顔はこの世の終わりのような顔をしていたらしい。
僕は、簡単に彼女に説明する。
といっても、左腕で彼女をどかしさえすればいいだけなので、早々に説明を切り上げようとする。
「まっ待って。」そう言って彼女は僕に耳打ちをしてきた。
それは、簡単にいうところの時雨だけずるいというものだ。僕が好きなコンビが出た後から、林檎と手をつなぎ、僕が失神する→目を覚ます→失神する……いや死ぬだろ。
「だっだめか。な?」
うん。だめじゃない。両手に花で死ぬならまぁ悪くないよね…
そんなことを考えていると、僕の好きなコンビの出番は終わっていた。全然頭に入ってない!
「じゃっじゃあ握るね」
そういって林檎は僕の手を握る…一瞬で気絶した僕だったが、その一瞬でも分かるほど彼女の手は震えていた。
そのあとのことは、よく覚えていない。。。




