10話)デート後メールって……来るだけでマジヤバッ!だよね
僕と林檎は、出来上がったプリクラを半分にして、ゲームセンターを後にした。
時が経つのは、思うより早いようで、外に出るともう日が傾いていた。
僕は林檎を家に送り届けるため、並んで歩く。
「あっありがとう。もっもうここ。で大丈夫だ。よ」
林檎はふと立ち止まってそう言った。
そこは閑静な住宅街だった。学校から言えば、僕の家より少し離れた辺りになるだろう。
勿論、ゲームセンターなど近くにはなさそうだ。
隠れ家風カフェなら有りそうだが。。。
僕は林檎に別れを告げ、帰路についたのだった。
ただ1つ忘れていたことと言えば、彼女に内気卒業証書を渡し忘れたことだろうか。内気少女は、自分からチュープリを要求したりなどしない。
ピローン。
家に帰り、夕食を食べ、風呂から上がったときにメールが届いた音に気付いた。
[今ってあいてますか?]
林檎からだった。
大丈夫だよと僕が返す。
ピローン
[あの。今日の昼間は楽しかったです!!あっでも皆にはプリクラのことは内緒にしとてくださいね]
さすがメールである。流ちょうだ。文明の素晴らしさに驚きながら返信を送る。
[僕も楽しかったよ!そうだね。特に最後の奴は絶対バレないようにしないとね(笑)]
因みにだが、僕の中でこの(笑)は変換すると(必死)になるのである。
ピローン
[家の神棚に飾っておきますね!今度の林間学校もゆっくりできる時間あると良いなぁ。じゃあ寝ますね!おやすみなさい]
林間学校とは一年生達の親睦を深めるための行事であり、五月の頭に二泊三日で開催される。
僕は、おやすみと送って携帯を枕元に置く。
しかし、神棚というのはいささか問題がありそうだが。まぁ何処か適当に置かれるよりは決してバレにくいと思うが。それ以前の問題だからなぁ。
考えても仕方ないと、僕は目を閉じるのだった。
トゥルトゥルトゥル
起こされた。いや寝ては無いのだが。目を閉じて一分も立っていなかったし。
「もしもし」一応寝起き?である。少しぶっきらぼうだったかもしれない。
「あっ!起こしちゃった?ごめんね」
高い声が聞こえる。相手は幼なじみの時雨である。
ただいつもより、元気は無さそうであった。
「まだ寝ては無かったよ。それで?なんかあったの?」
理由はどうであれ、彼女である。無下になんて出来ない。
タダ少シ。タダ少シ。機嫌ハ悪カッタカモシレナイ。
「いや。そう言えば、明日林間学校の事色々決めるでしょー?ちょっと私、熱出ちゃったみたいでさ。明日行けないかもだからさ。班決め代わりにやっといてくれない?女の子の方には私から言っておくから……」
何でも、班同士は四六時中一緒に行動することになるため、休んでいる間に、変な男子と組みたくは無いと言うことらしい。
まぁ人気だし、あり得なくは無い話だろう。
「それは良いけど、大丈夫なのか?」
「えっ!こよみん心配してくれるのぉー?うれしいなぁー!嬉しすぎて体温あがっちゃゴホッゴホッ」
言わんこっちゃ無い。まぁ馬鹿は風邪引かないらしいし、やっぱり天然なだけで馬鹿てもは無いらしい。多分阿呆だ。
これ以上体に障るといけないので、挨拶もほどほどに僕は電話を切る。
まだ話したいことがありそうだったが…まぁ明日行けば良い。
彼女の家は直ぐそこである。徒歩で20秒と言ったところだろうか?目隠ししてでも行けるだろう。
申し訳ない。嘘だ。目隠ししたら行けないと思う。
そんなわけで僕は今度こそ携帯を枕元に封印する。
今日は色々あったからな、お疲れモードなのだ。
一番はチュープリだろう。一瞬ということもあり、運良く顔には出なかったが、風呂の時に見てみると、体のあちこちに発疹が出ていた。
しかし、僕もこのプリクラを隠さねばならない…
神棚にでも隠すか。
そんなことを考えながら、僕は夢の世界へと入っていったのだった。