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Cruel Fate ~ 残酷なる運命  作者: 白兎
プロローグ
2/2

第2話 ナチュラの村

村はずれのハーブの森に 薬草を摘みに来ていた青年、白鳥(しらとり) 若哉(わかや)

彼はそこで、記憶喪失の少女 ネメシスと出会う。


放っておく訳にも行かず、どうしようかと考えていると

獰猛な魔物 ラージマウスの群れに襲われてしまう。


若哉一人では とても対処しきれず、もう駄目かと思った瞬間

ネメシスの手が光に包まれ、その光の中から

両刃の大剣…… ダブルセイバーが現れる。


ネメシスの放った薙ぎ払いの一閃によって

ラージマウスの群れは 一瞬にして 全滅したのだった。



「若哉くん、大丈夫? 怪我してない?」


「あ、ああ…… お陰様で、大丈夫だよ。」



女の子を守るつもりが、逆に守られてしまった。

少しばかり 複雑な気分になりながらも

命が助かった事に 若哉は安堵の溜息を吐く。



「……ネメちゃんって、強いんだな。

でも、どうやったんだ? 何も無い所から大きな剣が出てきて……。」



ネメシスが発揮した 不思議な力。

そのお陰で助かったとはいえ、疑問を抱かずにはいられない。




「う~ん……わかんなぁ~い。」


「……えっ?」



「何とかなりそうな気がして、やってみたら

本当に何とかなっちゃったっていうかぁ~……。」



「その不思議な力に関する記憶も、失ってるって事か……。

でもまぁ、その力のお陰で助かったんだ。 有難うな、ネメちゃん。」


「どういたしましてぇ~♪」



ネメシスの笑顔に 若哉は一瞬、見惚れる。


しかし、いつまでも こうしている訳にはいかない。

魔物が現れた以上、この森も決して安全とは言えないからだ。



「と、とりあえず…… 村に案内するよ。

村長に相談して、これからの事を考えるとしよう。」


「うん! あっ、ちょっと待ってぇ~。」


「ん?」



ネメシスは再びダブルセイバーを出すと

それを思いっきり地面に突き立てる。


すると 次の瞬間、落雷のような閃光と衝撃が起こり

地面には 大きな穴が 出来ていた。



「うおっ!? な、何やってん……」



突然の出来事に驚愕する若哉。


しかし、問いかけるまでもなく

その疑問は解消される。



ネメシスは ラージマウス達の亡骸を 穴の中に埋めていく。

悲しそうな表情で、小さく「ごめんね」と呟いているようにも見えた。



「…………。」



若哉は 無言で、ネメシスを手伝い始める。



「あっ…… 若哉くん、いいよぉ~。 私だけで……」


「二人でやった方が早いし、ネメちゃん一人に 嫌な思いさせられるか。」



「……若哉くん、優しいね。」


「それはこっちの台詞。 ……お前、まるで天使だよ。」


「あはは、大袈裟だよぉ~。」



苦笑するネメシス。


ラージマウス達の亡骸を埋葬し、弔った後

二人は 村へと 向かうのだった。






ハーブの森を抜けて 少し歩くと

程なくして、小さな村に着いた。


「着いたぜ、此処は ナチュラの村 だ。」


村の男達は畑仕事をしており

女達は夕飯の準備をしているのか

木造の家から 良い匂いが漂ってくる。



そして、ネメシスと若哉の姿を見かけるなり

一人の少女が駆け寄って来た。


歳はネメシスより少し下…… 17歳くらいだろうか。

茶髪のポニーテールで、活発な印象を受ける。



「あ~っ! ヘタレの若哉が、女の人を連れて来た~っ!!」


「お、おまっ…… 誰がヘタレだ、誰が!!;」



突然のヘタレ呼ばわりに反論する若哉。

ネメシスは 突然の出来事に きょとんとしている。



「うぉっほん! この子はネメシス。

ハーブの森で倒れてた所を僕が見つけたんだ。」


「初めましてぇ~。 ネメちゃんって呼んでねぇ~♪」


「アタシは 村長の娘の アスカ。

ナチュラの村へ ようこそ、ネメちゃん。」



ネメシスの笑顔に、アスカも笑顔で応える。



「ところで アスカ、村長は居るか? 相談したい事があるんだが……。」


「パパなら家に居るよ。 丁度、アタシも パパに

若哉を探してきてくれって頼まれてたから、一緒に行こ。」


「分かった。 ネメちゃんも疲れてると思うけど、もう少しだけ辛抱してくれ。」


「んっ、大丈夫だよぉ~。 心配してくれて、ありがとぉ~♪」



ネメシスの笑顔に、若哉は思わず赤面する。



「へぇ~、若哉が女の子に気を遣うなんて、ひょっとして ひょっとしちゃう~?」


「そ、そんなんじゃねぇし!? い、行くぞっ!!」



若哉は 真っ赤になり、早足で行ってしまう。

アスカは ニヒヒッと笑うと、ネメシスの方を向く。



「あいつ、頼りないけど 根はいい奴だからさ。

ネメちゃんも 嫌でなければ、仲良くしてやってほしいな。」


「うん、もちろん! 若哉くん、私の初めてのお友達だもん♪」



(おぉう、お友達だってさ…… ま、若哉 がんばれ~?)



心の中で苦笑する アスカ。



「……? アスカちゃん、どうしたのぉ~?」


「ううん、何でもない。 さ、アタシらも行こっか!」



アスカは ネメシスの手をとり

若哉の後を追うように歩き出した。






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