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No.96





 No.96




 「いやー!」

 「でもな、トウカーー」

 「いやたらいやなのー!!」


 トウカは子供のように駄々をこねる。いや今のトウカの精神は子供に近いのか。

 それでなんでトウカが駄々をこねて要るかと言うと。

 あれは幽霊三人組が姿を保てなくなり、宴会がお開きになったあとの事なんだが。それよりちょっと前に戻る。




 『あら、どうやらそろそろ限界のようですわね。ここだと他の場所と違って、長く居られますから感覚が狂いそうですわ』


 ドリルのお方の姿が薄く、次第に消えかけてきている。

 金髪男の方も光の玉を食らいすぎたせいなのか。最早消滅寸前といった感じに為っている。

 唯一姿がはっきりしている寝太郎は、『みんな寝るなら、俺も寝ようかな』などと言っている。


 「そうか、もうそんな時間か。まだいくつか聞きたいことがあったんだが」

 『それはまた今度で良いと思いますわ。ここに居られるのでしたら。一月もあれば今日と同じか、それ以上の顕現はしていられる筈ですわ』


 こっちも一月か。ここじゃなければもっと掛かるってことは、他ならどれだけ掛かるか聞きたいところだが。それより。


 「金髪男(あいつ)の石はどっか他所へ捨ててきた方が良いだろうな」

 『ですわね。その方が世の女性のためのも良いと思いますわ』

 『ほんと怖いなー。怖いから俺このまま寝てるよ』

 『ウキキッ。例えどこに居ようとも俺っちはまた舞い戻ってくる。アイシャルリターn、うぎゃ!』


 セリフの途中でピンクサルが打ち放った光の玉が金髪男の顔面にクリーンヒット。そのまま奴は消滅して消えていった。成仏しろよ、南無。


 『惜しい事にあれは死んではいませんわ。顕現する力がなくなって石へと戻っただけですの。石も壊せませんので、在る意味不死より厄介な存在ですわ』


 チッ、非破壊アイテムか。

 仕方ない。この場所じゃない所にでも置いて、少しでも溜まる力を阻害してやる。

 そんなことを考えている間に、ドリルのお方の姿が消えそうになっていった。


 「おっと、消える前に、今日最後の質問に答えてくれ」

 『なんですの?』


 こんなのは最初の内に聞くべきなんだろうけど。今までその機会がなかったからな。


 「今までドリルだの金髪男だのと呼んでいたからな。あんた達の名前だよ。まだ聞いていなかったと思ってな」

 『こちらも名乗っていませんでしたからね。ですがあえて名乗らなかったんですわ。(わたくし)達の名前は、そのまま貴方との契約になってしまいますもの』


 それから少し考えるそぶりをして。


 『次もドリルなどと掘削機扱いされるのはしゃくですわ。ですから仮の名前として貴方に名乗ることにしますわ。(わたくし)は、そうですわね。『エヴァ』と呼んでくださいまし』

 「エヴァな、わかった。そっちの兄さんは?」

 『俺? うーん『ティグリス』で良いや』


 ティグリス()って、まあ、本人が良いなら良いけどさ。


 「了解。で、あの男は?」

 『あんなのはエロ猿で十分ですわ』

 『それでも良いだろうけど、本人嫌がるぞ。そうだな。前に『ハルシオン』って呼ばれてたからそれで呼んでやれば』

 「なにそのカッコいいのは……。まあ次会うことがあったら聞いてみるよ」

 『それではこれで今日は最後のようですわ。では、またいずれ』


 ドリル、もといエヴァはそう言って頭を下げ、姿が消えていった。


 『じゃあ俺ももう一眠りするわ』


 ティグリスの方もそう言ってエヴァを追うように姿を消していった。

 それを見送ったあとピンクサル達の方へ振り返り。


 「さて、これで宴会はお開きだ。ピンクサル達(お前達)は片付けだ」


 ピンクサル達は「りょうかい~」と言って、使ったものを片付け始めた。


 「トラさん(そっち)はどうする? 今日泊まるんだったら寝床ぐらいは貸すが」


 トラさんは「とまるの~」と言って返事をする。


 「となると、あとはトウカだけだな。今日は良いとしても住む場所は決めなくちゃな」

 「トウカもトウイチロウの家で一緒じゃないの?」


 いやさすがにそれは…………。いくら今のトウカが子供のような性格をしていてもね。ボンキュッボンなお姉さんだよ。こっちとら健全な男なんですよ、娘さん。

 その後どうにかこうにか説得を試みたが。


 「いやー! なんでみんな一緒なのにトウカだけ仲間はずれするの!?」


 とまあ冒頭に戻るわけなんだが。


 「ウキ(いっしょで)キキ?(いいじゃんね?)

 「ねえーおさるさんもそう思うよね。トウイチロウ、意地悪だよね」

 「ウキ(ねぇちゃんも)ウキキッ(はやくねどこつくれ)


 トウカがピンクサル達と結託してどうにかしようとしてるみたいだ。

 しかし聞いてると微妙に会話が成り立ってるようで成り立ってないな。

 このままじゃなし崩しで一緒に住むことになりそうだな。仕方ないこっちが折れよう。


 「わかった。一緒の家でも良いだろう」

 「ほんと!? わーいやったよ! おさるさん!」

 「ウキ(めが、)キキッ~!?(めがまわるぅうう)


 近くにいたピンクサルの手を取り、振り回すように小躍りするトウカ。


 「よし、それじゃトウカの部屋を作ってくるからな。ちょっと待ってろよ」


 こちらで何とかすれば平気だろう。




 と思ってたんだかなぁ。


 「いやー! なんでトウカだけ二階なの! トウカも一緒の部屋がいいー!」


 と言うことで、結局トウカも一階の部屋と相成りました。

 わがままになってくれと言ったんだ。これも自分が譲歩しよう。しかしーー


 「持つかなぁ、精神が」

 「(まあ、)キキ(がんばれ)


 ポンと、肩を叩くピンクサルがいた。




















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