No.87
No.87
トラさんと会話が出来るようになったのは切っ掛けは、多分教技の【セフィリア言語】がLv:5に為ったからじゃないかと推測する。
いやさあ、ステータス見たら【セフィリア言語】のレベルは上がってるし。新しく【交渉】【手当て】【救命者】何てのも習得していた。
ってかこれ以外で話せるようになった要因なんて考え付かん。もうこれだって事にしておこう。
「先程会話は出来ていないと、仰りませんでしたか?」
トウカさんより疑問の声があがる。
言ったね、言いましたね。でも分かるようになっちゃったのよ。
「うにゃにゃーん♪」
話せるように為ったことより竹林先だよな。カツヲに言われて余り開拓するなって言われてたけど。結構やっちゃったからな。誤魔化しは多分不可能。と言うより絶対に無理。
う~ん、いっその事きちんと話しておくか。その方が面倒臭くないし。
「トウカさん。これから言うことを、出来るなら他の誰にも言わないようにして貰いたいんですが」
自分はトウカさんの方へ振り向き。彼女の顔を見て、頼み込むように言う。
「……事情があるなら、お聞きしませんが……」
「いえどっちにしろ奥に来るのなら、早々に疑問に思うでしょうし、先に言っておこうかと」
その辺に落ちている木を拾い、【木材加工】を使いスプーンに加工する。
「これはオルテガさんの時にも言いましたが、物を加工する能力です」
少し疑問に思いながらも頷くトウカさん。
「実はこの力はほんの一部でしかないんです」
「一部……?」
さて何かをやるにしても一応これは聞いとくか。
「その前にトウカさん、この世界の人達は『習得技』為るものを持ち合わせていますか?」
「習得技? いえその様なものは聞いたことがありませんが」
やっぱりか……。オルテガさんの時もそれとなく探りを入れてみたが、無反応に近かったもんな。
となると自分の『固有特性・渡界者』の能力が、ゲームの様な能力を得たと言うことなんだろうな。
しかしこんな仕様のゲーム在ったかな?
「……あの、どうかされましたか?」
「ああ、すいません。つい何かあると考えてしまうのは自分の悪い癖なんです。ですが今の言葉で、自分の力の事が少し分かりました」
何をするのが一番分かりやすいかな。そうだな、これなんか分かりやすいかな。
「……えっ!? なにを!?」
トウカさんは驚きの声を上げる。
そりゃそうだ。聖地内で、しかも空白地帯でもない所で加護の力を切ろうとしてるんだから。
「だめっ! こんな所で加護の力を解いては!」
トウカさんが慌てるが自分はそれを手で制止。見ているようにと合図する。
金髪から黒髪へ変わり。尻尾もなくなり、いつもの自分の姿に戻る。
「ふぅ、やっぱりこっちの姿の方か落ち着く」
「にゃーん?」
「いや大分違うでしょう」
トウカさんはトラさんとのやり取りに呆然としながらもこちらに聞いてくる。
「…………平気なんですか?…………だってここは空白地帯でもないのに?」
「これも自分の能力の一部だと思います。他の人なら加護や元術でしたか。それで身を守らねば居続けることすら出来ない聖地で、自分は活動することが出来るんです」
「それが秘密ですか?」
トウカさんは確かにそれはとんでもない秘密だと思っているようだが、こんなのは序の口だと思う。
「いいえ。今も言いましたが、これらは自分の力の一部なんです」
「……これ以上の事があるんですか!?」
驚いてるな……。無表情なのに驚く、自分はそっちの方が驚きだよ。
まあそれはさておき。どう言ったら一番分かりやすいかな。
「まだ自分の力を完全に把握している訳ではありませんから、これだと言う言い方は出来ませんが。一番分かりやすい言い方だと、『成長』が適切かもしれません」
「成長……」
「はい。自分は様々な行動を起こした時に、それに適合、または素養と言った方がいいでしょうか。それに付随する能力を得ることが出来るんです」
「それが先ほど言っていた『習得技』ですか?」
「覚えていましたか。そうです。それ以外にもありますが。今一番顕著に現れているのは、その『習得技』です」
どう言ったものがあるかをざっくりと説明した。
「…………とてつもない力です!? 先ほど見せてもらった、物の加工や加護や術無しでの活動なんかとは、比べ物になりません!?」
あ、やっぱり。カツヲの時も【陣地作成】だけでも大騒ぎに為るって言っていたからな。
「その力は導師の力すら越えています」
「でしょうね。だからこそ自分は外の世界に行くのを拒んでいる部分でもあるんです」
厄介事に巻き込まれたくない、と言うのもあるが。カツヲや特にオルテガさんの話を聞いて、外の世界で自分は活躍することが出来るだろう。
それこそトウカさん達が言う『導師』すら越えた活躍が。
だからこそ力の使い方を考えなければいけない。
能力を使い一国を優遇し富ませれば、その恩恵に与らなかった国はどう思うか。
オルテガさんの話に出てきたように。下手をすれば戦争すら起こしてでも、それを手に入れたいと思う国は出てくるだろう。
だったら自分が貧する国を全て回る?
物理的な問題も出てくるだろうし。一つの国を安定させるまで支援していたら、それ以外の国が滅びる可能性すらある。
そんな事になれば救えなかったと自己嫌悪に陥り。救える筈のモノさえ救えなくなっていってしまう。
結局のところ。自分に英雄的願望はあっても、英雄的行動は出来ないと言うことだ。
手の届く範囲、守れるだけのモノを守るだけが精一杯。
その程度の事で留めて置かないと。能力に対して能力に溺れてしまいかねない。
「降って湧いた能力は、時に自分すら変えてしまいかねない、か」
「?」
今の言葉をお金に変えると分かりやすいかもな。
自分の知り合いに大金が手に入ったら、途端にその人物に態度を変える奴や。金の羽振りが良くなってそいつ自身も性格が変わってしまった奴がいた。
余りの変貌ぶりに疎遠となり、風の噂では金が尽き、路頭に迷い、ヤクザな商売を始めたと聞いたのが最後だったか。元気にしてれば良いが。
「まあと言うわけで、自分はすごい力を持っている訳ですけど。この力を誰かの為ではなく自分の為に使うと言うのが、今のところ自分のスタイルです。…………軽蔑されますか?」
大概の人なら。カツヲやオルテガさんの様な人達だったら、自分の能力は喉から手が出るほど欲しい力だろう。
「いいえ。私も術士の力を持ちながら、誰かの為に使うことを拒否した女です。……あなたがどれだけの力を持ち。どれだけの人達を救うことが出来たとしても。私がその力の使い方について、どうこう言える人間ではありませんから」
トウカさんは力を持ちながら他者を救う事を拒んだ人だったな。
「狡い聞き方をしました、申し訳ありません」
本当に申し訳なかったと謝罪をする。
その時トラさんが必死になって自分の頭に引っ付いていたのは内緒だ。
「にゃにゃーん!?」
【交渉】Lv:1
相手との特定条件を結ぶ時に、有利に話を運ぶようにできる。
【手当て】Lv:1
少ない医療具で治療を施す事が出来る術を持つ。
【救命者】Lv:1
救護が必要な者を救う為の知識と技術を持つ者。




