No.81
皆様明けましておめでとうございますm(_ _)m
今年もこの物語を読んで頂けるよう、頑張って書いていきます。
No.81
「ったく、何処に置いてあるんだ……」
物と言う物がそれほど置いてないボロ屋の中で、あるモノを探しまわっていた。
「ああくそッ! ここまで来るのと、あの女を殺っちまった時に、晶石を使っちまったみたいだから、帰りの分が持たねえ! 聖地で暮らしているんだ、絶対に晶石の一つや二つはある筈なんだ。くそぉ……こんな筈じゃなかったのに」
ほんと何でこんな事に為っちまったかな。
俺は今、聖地の中を数刻歩き。目的の場所にたどり着いた。
草むらを掻き分けたその先に、ぽっかりと空いたような場所に、今にも崩れそうな小屋があった。
その場所に入ると今まで圧迫されていたような感覚が無くなった。
(ここは空白地帯か。助かるな)
晶石の力を切り。小屋の前で「頼もう!」と声をかける。
すると中から一人の女が出てくる。
女の年は二十中頃。背は俺の様な鬼人種にしたら頭三つ分低い。
黒に一部、朱が混じった髪色。
星力を持つ者に現れる特色を持っているな。
胸は突き出るようにでかく、腰は細木の様なくびれ、尻は掴むほど有るか。
そして名はトウカ、か。……もう少しまともな情報がほしかったな。この辺りに居ると分かっても、聖地を歩き回る方の身になれよ……。
俺は自分の名前と女の名前を確認し、ここへ来た目的を話始めた。
「ーーたのむ。あんたが国に嫌気が指して、ここに住み着いてる術士だってことは重々承知している。だかそこを曲げて貰って頼みたいんだ。あんたの力、鬼の国の為に再び使ってくれないか」
そして土下座をし目の前に居る女に誠意が伝わるよう。精一杯、拙い自分の言葉を伝える。
「国は今、加護者も民を導けるほどの力を持った術士も殆ど居ねえ。このまんまじゃ国は衰弱しちまう」
地面に磨り潰す勢いで頭を下げる。
それを目の前の女、トウカは避難したような目をしてこちらを見ている。
そして軽くため息を吐き、言葉を紡ぐ。
「オルテガさん、でしたか。あの国がどう言った特色の国か、分かっていて言っているんですよね?」
艶のある少し間延びした声が静かに語る。
俺はトウカの言った言葉に苦虫を潰した思いだったが、答えないわけにはいかない。ここで答えなければより一層協力は得られなくなる。
「ーーー優勝劣敗。身体能力の高い者、星力能力の高い者が優遇される。そしてーーー」
「そして男尊女卑。例え女の方が優れていても、女と言う理由だけで蔑まされる」
俺の言葉に続くように、俺が言いにくかった言葉をトウカは言う。
俺は顔を上げ。取り繕うようにトウカに話を続ける。
「待ってくれ! そんな事は今は昔だ! 今は改革がなされ、国主は女性となり……能力主義なのは変わらないが。女性を軽視する風習は無くなってきているんだ!」
この事は本当だ。
俺は鬼の国では軟弱もの扱いされるが、外の国てば比較的まともな性格をしているらしい。だからこうして交渉役として担っているのだが。
これが他の奴だったならどうなっていただろう。
殆どの奴等は無理矢理引きずってでも連れてって、力任せに言うことを聞かせていた筈だ。
大体今の時勢、男だ女だと拘っては要られない。能力の高い者が国を守らなければ一気に滅んでいく。
「そうでしょうね。以前なら術士の私を四肢をへし折り、殺さぬようにしてから連れていかれたでしょうから」
まるで以前されたことが有るように、いやきっと有るのだろうな。改革以前のあの国ではそれこそ日常茶飯事に行われていた。
「今ならあんたを高位の国遣え術士として迎え入れがーー」
「お断りいたします」
にべもなく断るトウカ。
「な、なぜだ!? 国遣えであるならば、不埒者が出てきてもどうにでも出来る!」
そうだ。むしろ以前でも国遣えの者に手を出せば、例え国主であろうと罰は免れない。それだけ国遣えの者は国にとって大事な存在なのだ。
「……私は鬼と人です。鬼の国で生まれ落ちましたが、愛着などは何ひとつありません。在るのはただーー」
淡々と語るトウカ。最後の方は聞こえずらかったが、「憎しみだけです」と言っていた気がする。
違うな。鬼の国で生まれた女なら誰しも同じ言葉を吐く。例え違っていたとしても同じような言葉だろう。
と言うよりこの女は出身者であるにも関わらず、俺にここまで否定的な答えが出せるのだろう。
普通の女なら顔を青ざめ、泣き叫び、許しを請う姿しか俺はあの国では見たことがない。
「わかった。今すぐ色好い返事を貰おうとは思わない。また出直してくるーー」
こう言った交渉は一度で成功した試しがない。
上の奴等からはまた無能とか言われるだろうが仕方ない。国の為だ。今は少しでも力在る者に来て貰わないと。
そう言って立ち上がり帰ろうとすると。トウカからある言葉が漏れ聞こえた。
ーーーあんな国、いっそ滅んでしまえばいいですーーー
その後の事は覚えていない。
ただ気がついた時には、目の前には手足があらぬ方向に曲がり。体中至るところにアザを作り。今にも息も絶えそうなトウカが横たわっていた。
「…………何やってんだ、俺は…………」
少し赤くなった手を見てそう呟く。




