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No.80





 No.80




 「……なんと言うかって感じだな」

 「……にゃーん」


 近くへ寄って見てみれば更に酷さが際立った。

 なんせ取り合えず木を繋ぎ合わせて作りました、と言う感が否めないのだ。雨風さえ凌げれば良いやと言う作りだ。

 自分の時はどうだっただろうか? 今の竹の家はともかく。最初に作った家はもう少しまともに作ったような記憶があるんだが。


 「……きっとここまでひどいくはないな」

 「うにゃん?」


 うんうんと一人頷いていると、家の中から声がした。


 「何が酷いって?」


 ガタガタガタと扉らしきもが音を立て要るが、一向に開こうとしない。どうやら立て付けが悪いようだ。


 「あれ? 開かねなあ。まったく、おら!」


 幾らやっても開かない扉に業を煮やしたのか、扉を蹴破って出てきた。


 「壊しちまったよ。ワッハハ!」


 豪快に笑いながら、ちっとも困ってなさそうな顔で扉を見る。

 出てきた人物は、なんと言うか筋肉な人だ。いや人じゃないな。人の頭にあんな鬼のような角は生えていない。

 革の胸甲(プレート)を着けているが、所々にキズがあり。大分使い込んでいるのと見える。

 出てきた人は飛んでいった扉(最早ただの板)を拾って、元あった場所に立て掛けた。

 それからこちらを見て何か困惑した顔をしていた。


 「ところで少年は誰だ? 何処か国の使いか?」


 ボサボサの髪の間から見える鋭い目がこちらを見つめる。

 そんな様子に頭の上のトラさんが「うにゃーん!」と声を上げ威嚇をしている。

 と言うか頭の上で爪を立てるのは止めて貰いたい、かなり痛いから。


 「初めまして。自分はーーー」


 いつも通りの自己紹介をする。

 訝しげだった人は自分の紹介を聞き終わると、楽しげに笑った。


 「アッハハハ! なんだそりゃあ!? 落ちたところがいきなり聖地って、加護持ちじゃなかったら餓死か気が触れて死ぬかのどっちかだったぞ」


 おふっ。やっぱりここは加護とか持ってない人だと危険な場所なんだな。しかし。


 「()()()ところ?」

 「ああ、ほら天の星々があるだろう。渡界者はあの星のどれかから落ちてきてるんじゃないかって言われているんだよ」


 なるほど始めの頃は見える場所では、よくあの星の中に地球がないかなとか探したこともあったな。

 うんそれほど経っていないが、懐かしい思い出だ。


 「ところであなたはーーーええっと?」

 「俺か? 俺の名は……トウカって言うんだ」

 「ではトウカさんは隠者なのですか?」


 自分の質問に驚いた顔をするトウカさん。


 「おいおい少年はこの世界(ここ)へ来たばかりじゃないのか? よく俺が世捨て人なんて分かるな」

 「あ、いえ、自分はもう半年近くこの地に住んでいます。その間に魚人、ええっと確か……。海人族(マーブル)と言う方と以前厚意がありまして。その時に少し聞いたんです」

 「へぇーあの海の一族とね。どっかの川と繋がっていたってことか。ってか半年!? この聖地が豊かな場所だからってよく半年も生きていられたな。食べ物とかどうしていたんだ? そんな生っ白い体じゃ、モンスター相手にも大変だっただろう?」


 顔は髪の毛でよく分からないが、感情豊かな人で。それととても親切な人のようだ。

 初めて会った自分にここまで心配してくれると言うのも余り無いだろう。


 ーーーだが。


 先ほどからずっとトラさんが警戒を解いていない。

 唸り声は上げなくなったが、緊張した体が頭の上から伝わってくる。


 「そうですか? 意外と奥の方は食べ物が豊富に有りますよ?」

 「そうなのかい? まあ俺の腕輪じゃあ、そこまでの道のりは持たないからな」

 「腕輪?」


 何も知らない振りをして情報を聞き出す。

 このトウカさんがまだ味方だとは限らない。

 少なくともカツヲと初めて会った時のピンクサル達は、カツヲに対して警戒を見せなかった。ただ食材として襲おうとした奴は居たが。


 「ーーーそうなんですか。その腕輪にはそんな力が。と言うことは常にその腕輪の力を使っているんですか?」

 「いやいやいや、さすがにずっと使っていると腕輪の力も無くなってしまう。ただ聖地にはたまに空白地帯と呼ばれる安全地帯の場所があるんだよ。ここがそうなんだが、ここだと力を使わずに済むからな。力の温存できるんだ」


 そんなことカツヲは言って、いや偶然とかなんとか言っていたな、これの事か。


 ーーーガサッ


 そんな時、草むらの方で小さな音がしたような気がした。

 他のファンシー動物かと思い、そちらに目を向けた瞬間。

 目の端に大きな影が迫ってきた。


 「ふにゃーーん!!」

 「ーーーッ! チッ、変わった魔獣かと思っていたが、賢獣だったのかよ!?」


 頭の上で戦闘体勢バリバリなトラさんと。そのトラさんに何かしらの攻撃を受け。四、五メートル吹き飛ばされたトウカがいた。


 「……どう言うことですか?」


 自分はゆっくりとトウカの方へ向く。


 「……あんまり動じてねぇな。初めっから分かっていたのか、俺がトウカじゃないってことを」

 「いいえ知りません」

 「………………………………」


 何やら押し黙るトウカ(偽者さん)。

 知るわけないじゃないか。今日初めてここに来たんだぞ。そちらの事情なんぞ知らんよ。

 それより草むらで動く気配が止まない。もしかして誰かいるのか?


 「あいつが何かしたら何とかしてくれる?」

 「にゃーん!」


 元気よく答えるトラさん。頭から降りて警戒をしてもらっている間に草むらへと近づく。


 「…………ッ………………ぁ…………」


 草むらを掻き分けていくと女性が倒れていた。

 体中に青あざを作り。手足もへし折られて、あらぬ方向へ曲がっていた。


 (まだ息はあるな。よし)


 急いでバックパックから治療薬と七色珊瑚を粉にした竹筒を取りだし。それを混ぜ女性に飲ませる。


 「ッチ!」

 「うにゃにゃーん!」


 後ろで何やら大バトルが勃発しているが、気にせずいこう。今はこっちが優先だ。見たいけどあと回しだ。


 「しっかりしてください。薬です。これを飲んでください」

 「……ぁあ……ゲッホ!?」


 駄目だ、飲んでもすぐ吐き出してしまう。……………………仕方ない。


 「あとで幾らでも謝りますから。今は人命救助と言うことで許してください」


 そう言って竹筒を仰ぎ、中の薬を口に含み。口移しで女性に飲ませる。


 「っんぐ、あっ、んっ…あっ、くっ、んっ……ああッ!」


 唇を絡ませるよう薬をすべて飲ませる。

 喘いで要る様に聞こえるが、決してやましいことはしていない。


 「んっ……あ、あぁん……あぁ」


 もう一度言う。やましいことはしていないんだ! ホントだよ!!





















皆様よいお年を~*.゜+ヽ(○・▽・○)ノ゛ +.゜*私は休みの内に書き留めなくては。

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