No.79
No.79
「さて、自分はもう少し先を見に行ってみるかな。そっちはどうする?」
大分まったりしたので、そろそろ行こうかと立ち上がり。トラさんにもどうするか聞いてみる。
「にゃん? うにゃーん」
魚の干物も食べ終わり。毛繕いをして同様にまったりしていたトラさんは、首を傾げ何かを考えたあと。空中を歩くようにしてこちらに近づき、自分の頭へと着地した。
「おおっ!? なにそれすげぇー! それ魔法か何かかい?」
「うにゃーん!」
元気に鳴くトラさん。
今のは空を飛ぶ、と言うより空中を歩いたって感じだよな。
どう言う魔法なんだろう? 見た感じ、見えない階段を作った様に見えたけど。色々有るもんだ。
魔法の使い方に驚き、その応用の仕方もそれぞれなんだなあ、と感心した。
「ところで頭の上に居るってことは、一緒に付いていくってことで良いのかい?」
「にゃーん」
まあ一人で行くのも飽きてきたし、お供が居るのは嬉しい限りだ。
荷物を持ち。トラさんが落ちないよう歩き出したが。何かで固定されたように落ちる様子がなかったので、そのまま気にせず歩くことにした
サトウキビ畑の外側を歩き。境目を探しながら歩いていくと。ちょうど三つのエリアの境目辺りに来たようだ。
ひとつは今歩いて来たサトウキビ畑。
ひとつはだだっ広い草原地が広がっている場所。
そして最後は、自分が住んでいる大きな木の様に、大木が生え並ぶ森林地帯があった。
「う~ん今までの感覚だと、草原より森林の方がファンシー動物が居そうだよな」
そんな自分の発言に頭の上から、たしたしっと叩かれる。
「痛くはないんだけど、どうした?」
「うにゃにゃ~ん」
トラさんは森林より草原の方へ行きたいご様子。
「もしかして森林が住みか?」
「うにゃ~ん!」
なるほど。知っている場所より知らない場所へ行きたいと言うことか。
元々何処どんな物があり、どんな動物が居るかの確認だから。森林地帯がトラさんの住みかと言うなら、あっちはまた今度調べれば良いか。
そしてランボが言っていた別種の動物って、このトラさんの事だな。
「結局また山羊か羊には会えずじまいか……」
いったい何処の奴なんだろう?
「んじゃあ、あっちの草原の方へ行ってみようか」
「にゃーん!」
進路を草原へ。とその前にあの草むらの中を歩くのは大変なので、ミスリルを加工して両刃の槍っぽいものを作り。それで刈りながら進むことにした。
「さすがミスリル。簡単に草が刈れていくな。うん、君は今日からクサナギの槍と命名しよう」
「うにゃん?」
クサナギの槍のお陰で進むのに苦労はしない上。草原にある草はそれほど高い草はない。せいぜい腰ぐらい。それと時たま背の高い木があるぐらいだ。
更に移動中は【地図記録】を常に開いているから、方向感覚も狂うことがない。
なのでこの草原の位置が大体南東、東よりにある事が分かる。
これで東から南までの位置は大方把握した。次は東から北を目指してみるかな。
「しかし草原だから目新しい物はなさそうだな」
「にゃーん?」
「ん? いやなに、自分としては何か新しい物や利用価値がありそうなものでもあれば、目っけ物だと思っただけさ。だからもし何か変わった物を見つけたら教えて欲しい」
「にゃん?」
変わった物とは何だろうと思っているのだろうか。頭の上でしきりに動いているから興味があるのだろう。
どれくらい歩いただろうか。それを一番最初に見つけたのはやはり頭の上で見張っていたトラさんだった。
「うにゃーん」
たしたし!
トラさんが頭を叩く。
どうしたのか聞くと。ビシッと、とある方向を指し示す。
周りの草木を刈っていたので見逃していた。
そこはちょうど草木がない場所で、空白地帯の様に為っていた。
そしてそこには自分が一番最初に作った家と同等か。それよりひどい掘っ立て小屋があった。
…………誰か住んで、いやこの地でまともに住める人間は居なかったんだよな。とすると一時的な拠点? こんな所に?
「一応調べてみるか。それとよく見つけてくれた、ありがとうな」
「にゃーん」
おっと、その前に一応カツヲに言われたように姿を変えておこう。
誰か居て下手なトラブルが起きたなんて事は避けておきたいしな。
ステータスオープン。加護一覧と、ほい変身。
「さあ行ってみますか」
「にゃーん」
「ところで自分の姿が変わることには驚きはないのかい?」
「にゃ~ん?」
驚く様な事と言った感じに、首を傾げるトラさんだった。