No.71
No.71
「っ!? 生きてる!?」
ユニ子の突撃を受け気絶していた自分は。今度はピンクサル達に起こされること無く自力で目が覚めた。
だが日に二度も大打撃を食らったせいか、直ぐには起きることが出来ず。そのまま地面に横たわっていた。
「もう少し手加減してほしいなぁ、っつ。おーいすまないが、誰かバックパックから薬を持ってきてくれないか…………………………………………?」
あれ? いつもならピンクサル達の誰かが返事をして持ってきてくれるんだが?
痛む体を我慢しながら「よいしょっと」と、言いながら体を起こす。
そして何処かに居るピンクサル達を探そうと辺りを見回したが、ピンクサル達やユニ子の姿は見当たらなかった。
「あいつらどこ行ったんだ?」
痛む体を擦りながら荷物の所まで行こうと歩き出すが。ふと、ここが先程食事をしていた場所とは違った風景だと言うことに気がついた。
「そんなに吹き飛ばされたか? (ガサガサ) ん? 何だお前達はそっち側に居たのか……」
飛んできた方向の違いかと茂みの方から音がするので、そちらの方を掻き分けていくと。ピンクサル達やユニ子ではなく。子供ぐらいの大きさの、緑色をしたカエルのような顔をした奴が現れた。
そいつは今までのファンシー系なやつではない。どちらかと言うとカツヲのような若干リアル系な奴だ。
「……どちら様で?」
とりあえず聞いてみたが、多分答えは返ってこないだろう。
だって目は虚ろ。口からはヨダレだか泡だかが絶え間なく出ており。体は寒いのか痙攣しているのが常に震えている。
どう見てもおかしい奴にしか見えない。出来れば近寄りたくないタイプの奴だ。
「が……」
緑色の奴の口から声が出る。
ん? 見た目とは違ってきっちり受け答えが出来る奴なのか?
そう思い再度訪ねてみる。
「すいません、この辺に食い意地の張ったサル達と。暴走気質の馬を見ませんでしたか?」
「が、が、GAAAAAA!!」
緑色の奴は大きな口を開けこちらに噛みついてきた。
「やっぱりか!? んなこったろうと思ったわ! こんちくしょー!!」
噛みついてきた奴を躱し。腰に手をやり武器を探すが。ここ最近この聖地と呼ばれた地域には危ない奴が居ないと思っていたので、武器は持ってきてなかった。
「くそっ! こんな事なら何か常に何か持っとくんだった!」
必要に噛みつこうとして来る奴にタイミングを合わせ、下から打ち上げるようにアッパーをかます。
「どぉおおらぁあああ!!」
「が、BA!?」
打った瞬間。ぶにょんとした生肉を触ったときのような感触が伝わってきた。
「うおぉおおお!? 気持ち悪りぃ感触だな!」
自分の服でその感触を脱ぐ去るように拭いた。
緑色の奴は良いのを貰ったのか起き上がることは出来ず。暫くすると光となり消えていった。
「はい!?」
余りの事に驚いた。
緑色の奴がゲームのエフェクトみたいに消えていったのだ。
そして光が完全に消えると、ビー玉ぐらいの緑色の石が、その場にコロッと落ちた。
「…………えっと、ドロップアイテム?」
この世界の不思議に慣れつつあると思ったが。まだまだ不思議なことがあるんだなと思っt
「思うか! どう考えても今までの世界観と違うだろう! どう言うことだ!? またどっかの異世界に飛んだとか?」
周りを見回して確認するが、場所が違うだけで自分が知っている所と変わりはなかった。
紫色の空には大小様々な星々。植物を調べてみても相変わらず詳しい説明は出てこなかった。
いやよそう。大方の予想はついてる。でも認めたくない。だって認めたら絶対そっちルートに行きそうなんだもの。
「だってほら大丈夫。その辺の茂みからひょっこりピンクサル達が現れて……(ガサガサ)……」
言ってるそばから茂みから音がする。
そして出てきたのはピンクサルではなく。さっき光と消えた筈の緑色の奴。しかも一匹ではなく複数で。
「「「「GAAAAAA」」」」
緑色の奴等が吠えた瞬間に逃げた。脇目も振らずに。それはもう全速力で。
「うおぉおおおおおおおお!!!!」
「「「「GURAAAAAAAAAA!!!!」」」」
やっぱり緑色の奴等も追っ掛けてきた。
飛び掛かってくる緑色の奴等の気配を感じながら避ける。
避ける。避ける。避ける。避ける。
「しつこすぎるだろっーーー!?」
後ろから迫る緑色の奴等に気を取られ。足元の窪みに気が付かず足を取られてしまった。
転がり木に体を打ち付ける。
「ーーーっだぁ!?」
「「「「GAAAAAA……」」」」
緑色の奴等はこちらが動けなくなったと思い、ゆっくりと確実に近寄ってくる。
(ったく今日は体を打ち付けてばっかだ。体は、足を捻ったか)
転んだ拍子に足を捻ったらしく立つことは出来ても、走って緑色の奴等から逃げ果せる自信がなかった。
「「「「GURAAAAAA!!」」」」
何か手はないかと考える暇もなく、緑色の奴等が吠え襲ってきた。
「くそっ! 多勢に無勢過ぎるだろうが!」
こうなれば一匹でも道連れだと体勢を立て直し、迎え撃とうとしたとき。
『まったく何してますの。この程度の小物に手間取っているようでは、貴方の程度が知れると言うことですわよ』
何処からともなく凛とした、力強い女性の声が響いた。
『少し私が力を貸して差し上げます。その間に何とかなさい。『植物よ、彼の者達を縛り上げなさい』』
女性が告げると地面に生えていた植物がみるみる内に、緑色の奴等を絡み付くように育っていた。
その様子をポカンとした表情で見ていたら。いつの間にか隣に誰か立っており。そちらを向くと。
『いつまで呆けていますの? 貴方も男の子でしょう。しゃんとなさい』
そう言われたのだった。




