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No.68





 No.68




 「や、やっとおわったー。っおっととと」


 ずっと中腰姿勢で居たために、直ぐに立てることが出来ず。フラフラとした足取りで、地面に倒れ込んでしまった。

 約五十メートル四方の面積の雑草取り。昔の人はこれを機械とか使わずやっていたんだから、頭が下がる思いだ。

 やった範囲を振り返って見て。自分で自分を誉めてやりたい気持ちになった。

 それから汗を拭き、水を飲んでいたところに。この辺りを管理している、ファンシー動物がやって来た。


 「ぶるる」

 「は、はい終わりました。言われた範囲はすべて完了しました」


 いまだ足に力が入らない状態なので立てないが、上半身だけ敬礼の姿勢を取り相手に報告した。

 その相手は深い新緑の様な色の毛並み持ち。短足胴長、スピード重視な体付きと言うより。体力重視な体をしている。

 大きさは自分より小さい。百三十センチ位かな。地球でも実物を見たことがなくても、その姿を知っている人は多いだろう。

 まあここまで引っ張っといて何だが。所々で声が出てるから、もう分かってると思うが。相手の方は馬だ。

 しかもただの馬じゃない。その額には十センチ程の角が生えている。

 そう、この馬。ファンタジーで有名なユニコーンなのだ。


 「ぶる」

 「っあた!? なんですかいきなり!?」

 「ぶるる」

 「え? いま身体的特徴をバカにされた気がする? そんな事思っていませんよ。農耕馬として素晴らしいお体だと、っあ″だ!? 誉めてるんですよ!?」


 ユニコーンって牡馬だと思っていたのだが、こちらではどうやら牝馬のようだ。

 しかも心傷つきやすい乙女のようだ。

 乙女なのは理解できたのだが、何かにつけて突進してくるのは止めて貰いたい。

 このユニコーン、もうユニ子でいいや。突進してくると、ユニ子の角が自分の体に刺さってかなり痛いのだ。

 だからと言ってあんなぶっ太い後ろ足で蹴られたら自分なんか死んで、『ズシュン!』御美しい足で蹴られたら昇天してしまうのでやめてください。ほんと、マジで……カンベンシテクダサイ。

 その後なんとかユニ子の体当たりなど(攻撃)を避け宥めてると、『ぐうー』と腹の音がなった。


 「あーそう言えばなにも食わずに草取りしてたからな、腹へった」


 そんな力尽きかけていた自分にユニ子が野菜畑から野菜を採ってきて。


 「ぶるる」

 「え? 食べろって? ここの野菜を食べたから怒って雑草取り(これ)やらせたんじゃないのか?」

 「ぶるる」

 「食べることは良いの? 畑を荒らされたのが許せない?」

 「ぶる」


 どうやらユニ子は食べるために作っているのではなく。純粋に育てるのが好きだからやっているみたいだ。

 あと気ぃ使って喋るのも疲れてきたので、普通に話すことにした。ユニ子も余り気にしてないから良しだ。

 そんで話の続きだが。そんな手塩に掛けて育てている菜園に、食い散らかすは畑は荒らすはのピンクサル達(馬鹿者)が居たために怒っていたわけか。どっちにしても諸悪の根元は、あそこでのんきに寝ている奴らだな。ほんとどうしてくれようかあいつらは。

 グースカ寝ているピンクサル達にどう制裁しようか考えようとしたが。腹の方が限界だったみたいで。ユニ子が持ってきたトマトっぽいものを手に取り。取り合えず食べてから考えることにした。


 「シャクリーーーあまっ!? え? トマトだよねこれ!? トマトってこんな甘かったけ!?」


 持ったときにスーパーなどで売っている、ぶよっとしたトマトではなく。こうなんか、ガシッとしたトマトだったので、別のやつかと思って食してみたが。食べてみればトマト独自の酸味と甘味が口の中を満たしていく。

 そんな自分の感想にユニ子は満足そうに微笑んでいた。


 「おおっ!! これ旨いよ! こんな旨いの初めて食ったかもしれない!」

 「ぶるる」


 ユニ子はそんな誉めるなと言うように突進してきた。


 「おわっ!? アブねぇ……。ああそうだ! なあ、もし良かったらなんだけど。物々交換でも良いんで。ここの野菜、貰っていっても良いかな?」

 「ぶる」

 「え? マジで!? ありがとう!」


 ユニ子が別に構わないと言ったときに、思わず嬉しさの余り抱きついてしまった。そしたら。


 「ヒヒーーーン!?」

 「がっはぁ!?」


 顔を真っ赤にしたユニ子に思い切り蹴り倒された。


 「し、しまった。これで食生活がまた豊かになったと、思い、嬉しさの余りつい。……やべぇ、これ死んだか、ガクッ」


 余りの痛さに気絶してしまった。

 その後ピンクサル達が昼寝から目覚め。

 周りを見渡して。顔を真っ赤にして地団駄の様に地面を踏んでいるユニ子と。地面に大の字に倒れている自分を見て。「何があったんだろう?」と、不思議そうに首を傾げていたピンクサル達であった。


















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