No.64
ちょこっと連投致します。1/3
7月22日
No.64 【幕間】そのいち
それは金髪男に加護を貰った日から、少し経ったある日の事だ。
「あー今日もこのまんまか……」
朝起きて一番に確認することは、自分の姿が元に戻っているかの確認だ。加護を貰ってから数日、一向に戻る気配がない。
「加護いつになったら解けて、元に戻るんだ?」
カツヲは暫くすれば自分の意思で変化できるようなことを言っていたが、その兆候は今のところ見受けられない。
「……ウキ……」
モソモソと昨日泊まったピンクサル達が起き始めた。
「おっ、起きたか。おはよう」
ピンクサル達に挨拶を交わし朝の支度を済ませ、朝食の準備を始める。
ああそうそう。最近森の中を散策していたら、胡椒とか唐辛子ぽい物を見つけた。
それから【成熟加工】を使い魚醤ぽいのも作ってみた。お陰で食卓が少し彩ってきたな。
砂糖お酢味噌はまだ出来ない。そこまで手が回らないんだよ。
「肉類はともかく野菜類が欲しいところでは有るんだかな」
「ウキ?」
「野菜ってなに?」っと言った感じに、手伝いをしていたピンクサルが聞いてくる!
「野菜かぁ……。う~ん説明がちと面倒だが、大雑把に言うと。食べられる植物の葉っぱや根っこってところかな」
「ウキィ?」
「そんなの食べて美味しいの?」と更に聞いてくる。
「まあ調理次第だな。中には生のままでも旨いものもあるんだぞ」
「「「「ウキ!」」」」
自分達の話を聞いていたピンクサル達が「食べてみたいと!」声を揃えて言ってくる。自分も食べたいのだが。
「生憎とまだ見つけてはいないんだよな。お前らそう言うのが何処かに在るって知らないか?」
「「「「ウキ……」」」」
「そっか。知らないか。どっかに在るとは思うんだけどな。今まで行った場所にはそれらしい物がなかったから別の場所かな? よっしょっと」
近い内に新たな場所を開拓しに行くのも良いかもと考えながら石鍋を竈に置く。
「ふぅ、この姿に為ってから少し力が付いたのかな? 石鍋が余り重く感じないんだよな」
基本値のステータスには加算されてる様子もないから、もしかしたら純粋に自分の力が上がっただけかもしれないが。まあその辺は元に戻ってから試してみれば分かるな。
「さて今日の朝食だが……」
「「「「ウキウキ?」」」」
「……何を作ろうか?」
「「「「ウキィ~」」」」
バタバタと倒れ込むピンクサル達。
おおリアクション芸人だなお前ら。日〇猿軍団より吉〇新喜劇でお笑い芸人目指せるんじゃないのか。
しかしぶっちゃけた話、自分が作れるレシピは本当に高が知れている。いい加減飽きも来ると言うものだ。
う~ん、と悩みながら辺りを見回していると。キィ~コ、キィ~コと回る水車が目に留まった。
「おおそうだ! 穀倉地帯から持ってきた米や麦そばの実が良い感じになってるのを忘れてた。よし朝は果物類で軽くして、昼は水車で作ったものを使ってみるか」
「「「「……ウキー」」」」
「……えー果物だけ」と不満を漏らすピンクサル達に。
「要らなければ自分達で果樹園や穀倉地に行って食べてくれば良いんだぞ。自分はその間に美味しいものを作るから」
「「「「ウィキィイ!」」」」
「是非手伝わせてください!」と言ってきた。
…………お前らほんと変わってきたな。
果物で朝食を済ませた後。米の場合は脱穀したりとまだやることがあるから、麦かそばの実でやることにした。
どっちも大変なんだがピンクサル達がやる気に満ち溢れているから良いか。
麦の場合はふるいに掛けごみを落とした後、外皮を取るためにすり鉢で軽く砕いていく。
その後またふるいに掛け粉にするものを選別していく。
そばの実は同じく外皮を取り除くために、そばの実を一旦袋詰めにして、揉んで外皮を取る。
終わったらふるいに掛け粉にするものを選別する。
言葉にすると簡単だがやるとなると結構大変だ。
さてどっちをやるか。
麦とぞばの実を見ているとピンクサルが寄ってきて。
「ウキキ」
「え? 両方やりたい? 大変だけど良いのか?」
「「「「ウキ」」」」
ピンクサル達のやる気はMAXみたいだ。早速やり方を指示し粉にしていく。
ピンクサル達はこれが美味しいものになると思い一生懸命やっている。
「結構時間がかかったな。後は石臼をセットして粉にしてけばオッケーと」
「「「「ウキィ~♪」」」」
「まあ粉になるまでが、また時間かかるけどな」
「「「「……ウキ……」」」」
一人二人分ぐらいならそんなに掛からないだろうけどな。お前らが食べるとなると結構な量が必要だろう。
その後、様子を見ながらふるいに掛けた物を石臼へと入れ粉にしていく。
その様子をピンクサル達は興味深そうに見ていたのだった。
先に小麦粉となった麦を取りだし、水と塩を加え練っていく。
これはこれだけで出来るパンの種だ。
バターとかもあれば良いんだけどな。ランボって牛だよな? 見た目ホルスタイン種だから乳がでないか今度聞いてみるか。
「「「「ウキ、ウキィ」」」」
「やりたい? じゃあ良いか、こう言う風に満遍なく練っていくんだ」
「「「「ウキ!」」」」
「ある程度纏まってきたら教えてくれ」
「「「「ウキィー!」」」」
種を方はピンクサル達に任せ、自分はそば粉の方に移る。
小麦粉を作るときと同じように石臼を使い粉にしていく。
出来上がったら器に入れて水と混ぜる。この時熱湯でも良いらしいが今回は水でやる。
ぐるぐる練っていると良い感じに固まった。そばがきの完成だ。
「「「「ウキィ~♪」」」」
ピンクサル達が「出来ました~♪」と、某狩りゲーのような声を掛けてきた。どうやら向こうも出来たようだ。
どれどれと見るとバッチリの形になっていた。
「それで大丈夫だ」
「「「「ウキィー!」」」」
自分の言葉に喜ぶピンクサル達。
パン種はこのままでも良いが、【成熟加工】を使い自然発酵させてみよう。上手く行けば膨らんでいくだろう。しかし習得技を使ってるのに自然とはこれいかに?
パン種を器に入れ【成熟加工】を使う。器の底の方でペチャンコだったパン種は、みるみる内に膨らんでいった。
それを見て驚くピンクサル達。自分の方は上手く行ったと笑みを浮かべていた。
膨らんだパン種は適当な大きさにして【石材加工】で大きな石からくり貫いて作った石窯で焼くことにした。
これは初めて使うから上手く焼けるかは心配だけどな。
焼き上がるまでの間、そばがきを食べて焼けるのを待つ。
「う~んそばの味だ。そばつゆが欲しいところだ」
「ウキ、キ?」「モキュモキュ」「ウキ!?」
フワッとした食感のそばがきが不思議なのか。ピンクサル達が各々首を傾げながら、それでも美味しそうに食べていた。
暫くするとパンの方を焼き上がってきたみたいだ。パンの焼ける香ばしい臭いが窯から立ち込めてきた。
「熱っ!」
中を確認しようと窯の蓋を開けると、熱風が自分の顔を襲った。
ピンクサル達も覗こうとしたが危ないから下がらせ、パンの様子を確認する。
パンの幾つかはひび割れていたが、まあまあの出来だと思う。
焼けたパンを取りだしピンクサル達へ渡していく。
「熱いから気を付けろ」
「ウキ♪」
全員に行き渡り熱い内に食してみる。
サクッとした歯ごたえともちっとした感触。そして粉本来の味が何よりも際立った物が出来た。
「「「「ウィキィイ~♪」」」」
ピンクサル達も美味しいと絶賛してくれた。
最も自分としては味はともかく、出来としては地球で食べたパンの方が良い気がするが。
「ふうー食った食った」
「「「「ケップ!」」」」
「お前ら食い過ぎなんだよ。自分達の体積以上食ったんじゃないのか?」
腹を丸くして横に為っているピンクサル達。その内丸く肥えて行くんじゃないかと心配してくる。
食休みをしながらステータス画面を開く。今日やった事で新たな習得技を取っていないか確認をする。
すると工技で【製粉加工】を習得していた。
「水車と石臼を作った意味が、いやまあ使わなかったら取れなかったんだろうけどさ。いつもながら釈然としないな、この習得技って」
そしてステータス画面を見ているとどうして加護の項目に目がいく。
「いつになったら元の姿に戻れんのかな……」
画面は触れないが加護項目の部分を指で弄っていると、意識していたこともあったのか。突然画面が切り替わり加護設定と言う画面になった。
「あれ? なにこれ?」
自分の能力を完全に理解してない部分もあるがこんな画面は無かった筈だと困惑していた。
しかし出てきたものは試してみなければと弄くると。加護設定と言う項目があり。光獣『?????』のところにON/OFFの文字があったので。それをOFFにしてみたらあっさり元に戻った。
「もっと早く見つけていれば……」
その後ONにすれば加護が付き姿が変わり。OFFすれば元の姿に簡単に切り替えられるようになった。
それからOFFの状態で元のステータス画面に戻ると、加護の項目から光獣『?????』と【光魔法適正】が無くなっていた。
やっぱりこの【光魔法適正】は、加護と一緒にあの金髪男から貰ったものだからだろうか?
「いいもんね、その内自力で覚えてやる」
いまだに魔技はこれしかないが、その内覚えられるんだよな?
一抹の不安があるが、今回は元に戻り方が分かったのでよしとしておこう。
「さて今日も色々やったし、明日は何しようかな? そうだカツヲから貰ったミスリルがあったな、あれを弄ってみるか」
今日も万事平和なりけり。
ドキドキワクワクの冒険はないけれど、のんびりゆったりの気ままの生活が板に付いてきた。
いつまで続くか続けられるか分からないが、その時までは楽しみましょうかねぇ。
【製粉加工】Lv:1
穀物類を粉状などにすることが出来る加工技能。




