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No.62





 No.62




 「さて【魔力操作】を覚えたが、ミスリル(こいつ)をどうするか」


 目の前にはピンクサルが魔力を使い、変形させたミスリルがある。

 うん何となく前衛芸術に見えなくもないな。『爆発だ!』と言うやつだ。

 ミスリルの量だが持った感じ、10キロ有るか無いかぐらい。米袋を持った時と同じぐらいだから、多分そうだろう。

 それでこのミスリルだが普通の刀剣類の刃でも、どれくらい使うかは分かっていない。なのであれこれ作ろうとはせずに。()()と、言ったものを作る方がいいと思う。


 「何を作るのが一番いいか。今要る物としたら、金槌、斧、ナイフ。う~んやっぱ刃物類が多いか」


 取り合えずやってみなければと、魔力を手に纏わせミスリルに触る。

 どっぷんと、まるで泥か何かに手を突っ込んだ様になった。


 「おおっ!? すげぇ、さっきとはえらい違いだな」


 ミスリルを掬うように手のひらで取る。

 こうして見てると液体金属のように見えるな。


 (ここから形にしたいんだけど、どうすれば?)


 ここで新たな疑問が出てきた。

 この泥っぽい感触のミスリルをどうすれば個体になるか。まあ意外な程あっさり解決するんだが。

 要は魔力の量を調節すれば良いのだ。

 今の泥のような状態から手に纏わせている魔力を量を少しずつ減らしていくと。粘土の様な固さに徐々に変わっていった。


 「おおっ、これだとこねてるって感じがするな」


 その状態のミスリルをこね回し形を整えていき、出来たのが一本のナイフ。形としては不格好だが出来た事は出来た。


 「見た目悪いな。う~ん、そうだ! 液体化近くまで魔力を注いで、鋳型に流し込んで作れば良いんだ」


 そうと決まったら木材を持ってきて型作りを始めた。

 切っ先から中子(なかご)までの形を作る。柄に関しては後で木で作れば良いや。でもこれだと砥が出来るのか。……そん時に考えるか。

 【木材加工】で手早く作り。ミスリルを流し込んでいく。暫くすると液状化まで行っていたミスリルが固くなり、個体にまで戻った。


 「おお結構上手く要ったな。取り合えずこれで切れ味はどうだ?」


 おやつとして冷やしていたスイカを川から引き上げ切ってみる。


 ストッン!


 まるで豆腐を切るかの様に全くの抵抗無く、スイカは真っ二つになった。


 「凄すぎじゃないかこれ!? ただナイフの形にしただけだぞ!?」


 試し切りで切ったスイカを見て驚いていた自分に。スイカを切ったことで、おやつだと勘違いしたピンクサル達が集まってくる。


 「おいおい、お前らまだおやつには……まいっか、早く食べても」

 「「「「ウキィ」」」」


 今作ったミスリルのナイフでスイカを切り分けていく。

 さくさく切れて素晴らしい切れ味だと酔いしれていると。一匹のピンクサルが、「ナイフ(それ)貸して」と言ってきた。


 「いやいや、これ刃物だし。切れるから駄目だって」

 「ウキ!」


 何やら強い言葉て言ってくるピンクサル。

 何かが有るのかもしれないと、ピンクサルを信用し渡した。

 渡したピンクサルはナイフをつぶさに眺め。一頻り納得した後頷き、ナイフを掲げ。

 ナイフを(それを)地面へと叩きつけた。


 グシャ!


 叩きつけられたナイフは、ぐにゃと潰れた粘土のようになった。


 「な、何しとんじゃあ!?」

 「ウキ!」


 「良く見ろ!」と言うように、潰れたナイフを指差すピンクサル。

 指したナイフを改めてみると、ナイフは魔力を流した時と同じような状態に変化しているのが見てとれた。


 「……もしかしてお前、今魔力を流してやったのか?」

 「ウキィ」

 「いや、でもそんなことしなくても」

 「「「「ウキ」」」」


 スイカを食べているピンクサル達からも否定の声が上がった。

 どうやらピンクサル曰く。魔力を使っても壊れないように作れと言うことだそうだ。

 また無茶なことを。今【魔力操作】を覚え、ミスリルの加工のしかたが分かったのに。今度は壊れないように作れ? どうやってよ? 魔力を流さなければ良いだけの話じゃないのか?


 「なあ、お前らミスリル(これ)の加工のしかたって、実は知ってるんじゃないのか?」

 「「「「ウキィ」」」」


 揃って否定しやがった。じゃなんでここまで扱い方知ってるんだよって、突っ込みたくなる。

 しかしこいつらが知らないと言った以上。これ以上の事は期待は出来ない。あとは手探りでやってくしかないか。…………まあそれはそれとして。


 「せっかく作ったナイフを駄目にされたんだ。お前ら今日の夕飯ランクダウンな」

 「「「「ウィキィイ!?」」」」


 「なんでぇええ!?」と、夢中でスイカを食べていた連中も叫び出す。


 「あれだよ。連帯責任ってやつ?」

 「「「「ウキィー!」」」」


 「横暴だー!」と騒ぎ出すピンクサル達。

 そんなピンクサル達を無視して潰れたナイフを手に取り考える。


 (壊れないようにか……。今までのピンクサル達(あいつら)の知識。あの男(金髪男)が関与してそうな気がするんだけど。自分の気のせいかねぇ)


 絶対にそうだろうと思いつつもミスリル(こいつ)をどうするかを、考えた。







 ああ因みに。粘土状態にまで持っていったミスリルを【武器加工】や【道具加工】を使ってやってみたらあっさりと作り変える事が出来たので、今度からそちらを使って変えることにした。

 だってそっちの方が手で作るより早いんだもん。
















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