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No.6


 No.6




 「大丈夫だよ……な? 腹壊したら薬も無いから、出来るだけ怪我もしたく……ない…………しッ!?」


 自分の体を確かめ、何の気なしに空を見上げたら。ここだけはまるで台風の目のように、木が覆われていなかったことに初めて気がついた。

 そしてその覆われていない部分から見れた空は、地球ではあり得ないほどのスペクタルなものだった。


 「星が、星がでかすぎるぅううう!?」


 紫色に染まる空には、本当に大小様々な星が浮かんでいた。

 大きいサイズのものは、それこそ双眼鏡レベルの物でも地表がハッキリ見えるのではないかと言うほど大きかった。


 「……さすが異世界半端ないわ、って異世界で済ませて良いレベルなのか? 星同士の引力とかで落ちてこないのか? あれは?」


 本当に不思議な世界だと、自分の中で納得させた。

 この世界の事は追い追い理解していけば良いだろうと。

 それよりはここに在る食べ物の事だ。今食べた桃はどう考えても地球に在る桃と同じだった。だたし旨さは別格であったが。

 ここに在るものが毒もなく。食料として成り立つならば、生きていく上での物が、ひとつ手に入ったと思って良いだろう。

 もっともあのサルたちを見ていると。ここの果物には毒など無さそうだから。それ程心配しなくても良さそうだが。


 「これで水と食料の目処が何とかたったな」


 桃を数個手に持ち、大きな木のところまで戻ることにした。

 桃だけしか持っていかないのは、腹痛などを万が一起こしたときに、何が悪かったのかを理解するためにだ。

 本当はもう少し持っていきたいが、手に持てるだけだと数個が限度だし。食べ過ぎで腹痛も起こしたくない。


 「手が塞がるから今度バックみたいなのを作るか。なんだかここに来て、工作技術が上がっていくような気がする」




 帰りは何かと遭遇することなく無事にたどり着いた。


 「う~ん今何時ぐらいだ? 腹の減り具合を考えると四、五時ってとこ位かな? まだ明るいし、やれることをやっとくか」


 持ってきた桃を木の(ウロ)の中に丁寧に置き。手頃な葉、木の枝、繊維の多そうな木の皮、枯れ枝、大きめの木。そして蔓草を集めた。

 何を集めていたか分かる人は分かるだろうか?

 ひとつはバック作りのための材料。もうひとつは人類に大きな進歩を与える事になった火だ。

 火がなければ生肉など、衛生管理がされてなければ食中毒を起こす危険もある。

 本当はこれを一番最初にやりたかったが、動けるうちに食料と水だけの確保はしときたかった。


 「さて、火起こしだが。ライターがあったらな、無いものはしゃないな」


 キリ揉み式や弓引き式でやるのは構わないが、あれは慣れがないとただ単に体力だけが減る。

 しかし自分は川原で手頃な石を集める時に良いものを見つけたのだ。


 「たららったら~♪『透明できれいな石』」


 青い狸が懐から道具を取り出す時のような声真似をして、手に収まるほどの透明度の高い石を掲げた。


 「ふふふ、これで何をするのかって? みんなは虫眼鏡で日の光を集めて、火を起こしたことはあるかい? それが答えさ」


 誰に言っているわけでもなく。説明&実践をしていく。


 「では先ずこのやたら繊維の多い木の皮を地面に置きます。次に木漏れ日から漏れてくる日の光を上手い具合にこの透明な石に集め、レンズの代わりをさせます。すると………………………………………………………………………………………………………………………………着けよ!」


 簡単には着かなかったが。その後幾度か試していると、ようやく火を着けることが出来た。
















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