No.53
No.53
ピンポーン!
それは採掘場から家に帰る途中に突然頭の中に響いた。
「な、なんだ!? 今のインターホンみたいな音は!?」
余りの突然の出来事に物凄い勢いで辺り見回したり。奇抜な構えを取り、その辺の木に向かい威嚇などしてみた。
「キシャー! ………………ふぅ、何か居る訳じゃないのか? いったい何だったんだ?」
構えを解き歩こうとしたら、目の前に宝箱が現れた。
「ジュワチッ!? えっ!? なに、宝箱?」
現れた宝箱から飛び退き、正義の巨人の様な構えを取り警戒するが、何処かで見たことの有る宝箱だと思いに至った。
「ん? これもしかして【短縮加工】の」
宝箱に近寄り箱を開けてみると思った通り、中身は米が、白米がそこにはあった。
「おおっ! 米や、米がある!!」
白くさらさらと粒がこぼれ落ちる様を見て一種の感動すら覚えた。
「よーし早速これを持って帰って、ぐぎぎぎ!? はあ、はあ、重いわ! 持って行けるか!」
宝箱を引っ張り持って行こうとしたがピクリとも動かず。一旦家に帰り袋か何かで小分けして持って帰ろうかとも思案した。
「う~ん毎度毎度これだと遠くに出掛けたときに困るな。何かないか、何か……あっ、【一時収納】?」
ステータス画面を開き【短縮加工】を調べたら、【一時収納】と言う項目があった。
それを押してすると目の前に在った宝箱は消え。代わりに【一時収納】の所に【収納期限一ヶ月】と出ていた。
「おおっ! これはある意味便利だな。他の物も入れられたら簡易収納箱になるな」
土竜の話を聞いて少し重たい気分になっていたが、米が食えるようになったと言うことで、上々な気分となった。
それを表すと。
「ヒャッホーイ! 久しぶりの白飯だー! レッツパーティー!!」
森の中を駆け抜け、家まで全速力で走って行くぐらいの喜び方だ。
ズッササササササササササ!!!!
実際に家まで全力疾走する馬鹿がいました。ええ、自分ですが何か?
急ブレーキを掛け、土煙を上げ家の前に到着すると。全速力で駆け込んできた自分に、何事かと目を丸くするピンクサル達がいた。
「はあ、はあ、はあ、お、お前ら、んぐっ、はあ、はあ、き、今日は白米パーティーをやるぞー! ウゥオオォォオオオ!!」
拳を振り上げ。世界でも取ったかの様な勢いの自分。しかしピンクサル達は目が点のままになっていた。
「HEY! HEY! HEY!! 何を立ち止まってやがるお前達! 飯だ宴だパーティだー! 他の奴等も呼んで準備を始めるぞ!」
段々おかしなテンションになってきてる自分に、なんとか追い付いてきたピンクサル達。
意味合いは良く分からないが、楽しいことが起きると理解したピンクサル達は、直ぐ様行動を開始した。
「いやっと、動き出したか。さて自分ものんびりとして要られないな! 食材集めに行くぜ!」
そして休むまもなく、おかしなテンションのまま。再び駆け出して食材集めに出掛けたのだった。




