No.51
カメの進みではありますが。ちょびっとずつ物語は進んでおりますよ。
No.51
「これはただの石……こっちも石……これは塩っと」
今日は採掘場に来ている。
塩を取りに来たと言うのもあるが、塩以外の鉱物が見つからないもんかと探し歩いている。
「ん、んー。屈んだり立ったりも案外疲れるよな」
体を解すように伸びをする。
結構歩き回ってはいるが、残念なことに見つからな。いいや、見つからないと言うのは語弊がある。実際には別のモノが見つかっている。
「……あれはどう考えてもフラグっぽいよな」
鉱物がないか探し回っている時に、偶然それを見つけた。
それは山肌にぽっかりと空いた穴。そう、そこには洞窟があった。
何かあるかもしれないと、洞窟内を調べるためにカンテラを使い入った。何があるか分からないから慎重にだ。
しかしその洞窟は拍子抜けするほど浅い洞窟であった。
ここまでであれば何の変哲もない洞窟と判断できるだろう。問題はその洞窟の奥にあったモノだ。
「扉だな。紛うこと無き扉だ」
そこに在ったのは石で作られた両開きの扉。
岩肌を削って作られたとかでは無く。十メートルほど広い場所の真ん中にドンと存在していたのだ。
どう考えても人工物。
何なのかを万物の瞳で見てみると。
【??の扉】
??『???』の体と『????』が封じられし扉。
これと同じようなものを以前見たことがあるんだが、気のせいではない筈だ。何処の誰が仕込んで要るかは知らないが、とことん自分にスローライフな生活を送らさせる気はないようだ。
「ここに在るものだし。土竜が知っているか聞いてみるか」
土竜が居そうな所探し戻ると。来た時に挨拶した場所から動いておらず。目を細目、日向ぼっこでもするかのように岩の上にいた。
「すみません、少しよろしいでしょうか?」
「……………………があ」
ボーッとしていたのか、それとも寝ていたのか。反応がやや遅かったが、自分の声に答えてくれた。
それから自分が見た石の扉の事について聞いてみた。
「があ、ぐぁあ。ぐぁあ」
「……えっと、すみませんわかりません」
「があ……」
土竜はピンクサルと違ってリアクションが少ない。尻尾を動かしてジェスチャーをするが、簡単なものなら当てられる。だが長くなると途端に分からなくなってしまった。
これは聞く相手を間違えたなと思った時、土竜の体が帯電し始めた。
「は? えっ!?」
どう言う理屈なのかは分からないが、バチバチと稲光が走る。
そしてこれまた分からないが、雷がまるで自在に動く手のように動き。近場にある石に当たると、それらは吸い付くように一つに纏まり。人の形をした石人形となった。
「……まさか、魔法?」
「があ」
「そうじゃ」と言うような土竜の声と頷く石人形。
「すごい流石は竜だ!」
自分の素直な感嘆な声に「当然じゃ」と、言う感じに胸を反らす土竜。若干嬉しそうな顔をしているから間違いはないと思う。
その後、土竜の石人形を使った。人形劇風の説明が始まったのだ。
そして自分はこの説明で、この地の秘密を初めて知ることになった。