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No.49





 No.49




 もろ手を上げて喜ぶピンクサル達に、トウモロコシを渡してやる。


 「それでは、いただきます」

 「「「「ウキキィ」」」」


 自分と同じように真似するピンクサル達。

 そしてトウモロコシにかぶりつく。

 噛んだ瞬間シャキッとした歯応えに、ジュウワ~とした濃厚な甘味が口一杯に広がっていく。


 「…………甘い!」

 「「「「ガツガツガツガツ!!!」」」」


 自分がトウモロコシの甘味を堪能していると、ピンクサル達は何かの機械のごとく。一本のトウモロコシを瞬く間に消費していく。そしてそれが二本三本となっていくと。


 「ちょっお前ら食い過ぎだ! 自分はまだ一本も食べてないんだぞ!」

 「「「「ウキ、ウキィキー!」」」」


 「世の中弱肉強食よ、食えない奴が悪いのさ!」と言った感じに、血走った目で言った。


 「く、くそっ! ガツガツ!」


 そう言われると自分も負けじとトウモロコシをかじる。

 もうこうなってくるとトウモロコシの味などは、二の次になってくる。

 結局自分は二本しか食べることが出来ず。残りは全部ピンクサル達に食べられてしまった。

 しかも食べたピンクサル達はもう無いのかと言った顔をしていたので。


 「食べたければ自分達で採ってこい。特にもぎたてのトウモロコシは生でも旨いらしいぞ」

 「「「「ウキ!? ウィキィー!」」」」


 「マジで!? じゃあ食ってくるー!」と言ったような感じで、膨らんだ筈の腹を一瞬で元に戻し。穀倉地帯に向かっていった。

 自分はそんなピンクサル達に。


 「食い過ぎには気を付けろよー!」

 「「「「ウキィー!」」」」


 わかっているのかいないのか、そんな返事が返ってきた。


 「さて自分は米や麦用の水車と石臼を作るか」


 【短縮加工】があるとは言え、作っておいて損はないだろう。

 設置場所を決め。木材を持ってくる。

 【木材加工】を使い画面を見ながら製作していく。

 はっきり言って水車なんぞ作ったことなど無い。逆に仕事や趣味以外で作ったことのある人間の方が希だろう。

 ああでもないこうでもないと、頭を悩ませながら取り合えず形だけにはなった。

 画面内で動くかどうかのテストが出来ないので、こればかりは実物で試すしかない。

 実行ボタンを押す。指定された場所に必要数の木材集まり水車へと変わっていく。早回しの映像を見ているみたいでこの時は結構楽しい。

 出来上がった水車は『ギ、キギ、ギ……』と音を鳴らし、ゆっくりと回転していく。

 現状は問題なく動いているようだ。

 歪みや軸のブレを確認して問題がなさそうなので、そのまま回しておき。石臼の製作に移ることにした。

 こちらは水車以上に難題だ。石臼は昔家に在ったのを見ただけで、動いているところなどテレビで見たことがあるくらいだ。

 仕組みの方もある程度は分かるが、これも想像して試行錯誤して作らなければいけない。


 「【石材加工】を使って岩から切り出すか」


 離れた場所にはまだ大きめの岩がごろごろ在るのでそれを使う。

 石のタイヤかと言うくらいの大きさのサイズ物を二つ用意する。

 えっちらおっちら押しながら、水車近くまで持っていく。

 下臼と呼ばれる部分から作る。

 【石材加工】で表面はきれいにしてあるので、まず中心部分を計り決めて、心棒を入れる部分を作る。

 穴を開け木材で作った心棒を差し込む。同じように上臼の方も穴を開ける。更に上から挽く物を落とす穴も開ける。

 一旦上手く噛み合うか試してみる。削る部分は磨かれているお陰か、特に引っ掛かりもなく回せた。

 外し今度は()の部分。つまり溝を作る。

 溝は回したときに粉が外に出るように作らなくてはいけない。そうした溝の線を、いくつも作っていく。

 上臼と下臼の両方の溝彫りが終わる。本当は豆等で試してみたいが、今は無いから後日試そう。

 後は回す部分、柄台と粉受け台を作れば完成だ。


 「柄台の方は確か、竹だったか。上臼に合うように作れば問題ないかな」


 竹を使い手で持って回す部分を作る。

 あっと言う間に作り終わる。

 続いて粉受け台。こちらは石臼と粉が入るように木で箱のような形に作っていく。

 こちらもあっと言う間だ。


 「ふぅ、後は使用して使えるかだ。その時が楽しみだな」


 水車のそばに置き。片付けをして要るところに、腹をパンパンに膨らませたピンクサル達が帰って来た。


 「「「「……ウキ」」」」


 その表情は「もうダメ、もう食えない」と言った感じであった。


 「……あれほど食い過ぎには気を付けろと言ったのに、待ってろお前ら。今胃薬を持ってきてやる」

 「「「「キ、キィ……」」」」


 「よ、よろしく」と言った感じだったので、やれやれと言いながら、家に薬を取りに向かったのだった。


















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