No.43
最後です。えっと最後がこれで申し訳ない。m(_ _)m
食事中の方、表現は控えてありますが気に触ったらごめんなさい。5/5
No.43 【幕間】
それはこの間のカツヲの件より前の出来事。
川原でトッテンカン、トッテンカンと竹と木を打ち付け。小さな箱形の、それこそ人一人は入れるくらいの小さな小屋を作った。
「ふぅ、何とか形に為ったな」
額の汗を拭い。その出来映えに満足の行くものが出来たと、笑みを浮かべた。
「ウキィ?」
一匹のピンクサルが「これなに?」と、言った感じに聞いてきた。
「これか、これはなぁ。ふふふ、この世界に来てから幾週間。人は『衣食住足りて礼節を知る』と言う言葉がある。確かに、物は充実してきた。衣服は竹布のお陰で何とか為った。食事も果樹園や川があるお陰でそれほど困ってはいない。住居に関しても大きな木を拠り所として竹の家も建てた。しかし、しかぁしぃ! まだ足りないものがある、それは何か! 君! わかるかね!」
突然人が変わったように自身の現状を説明した。
そして質問してきたピンクサルに向かって指を指し逆に問う。
それに対してピンクサルは「なんだろう?」と、律儀に首をかしげ考えた。
しかしそんなピンクサルの行動に見向きもしていないのか、自分自身で話を進める。
「そう、それ即ち『トイレ』だ! しかも天然『水洗』だぞ!」
川沿いに作った小屋を指しババーン!! と効果音まで聞こえてきそうなリアクションをとる。
そんな自分の言葉にうんうんと頷き。「良くやった!」「これで野〇そとはおさらばだ!」「穴掘り卒業! バンザーイ!」とか言っている。人として心情的には分かるが、何となく微妙な気分である。
しかしピンクサルは「結局これなに?」と言った感じに、やはり首を傾げていた。
その後ピンクサルにトイレの事を教えだが、いまいち理解はされなかった。
「トイレと言う文化が無いのは分かるが、お前ら排泄とかどうしているんだ?」
「ウキ」
聞くとあちこち指差していたので、決まったところにはないようだ。
それはいけない、それは駄目だと思い。懇切丁寧にトイレを利用する事の意味を教えた。
その後ピンクサル達に他のところではやらずに、ここで用を足せと。他にもトイレの使い方やルールなど徹底して教え込んだのだ。
トイレに関してだが、かつては川などに汚物を流し処理していたと聞いたことがあった。
ただし都市などは人口の増加により、浄化作用が追い付かなくなり取り止めに為ったとか。
他にも豚などの家畜のエサとして処理していた時期も有ったと聞く。こちらは家畜になる動物が居ないために却下した。
川式トイレだが、ここには自分とピンクサルしか居ないから、汚染とかは大丈夫だろう。もし下流に誰か居たらご免なさいだ。なんたって。
「これでもうあんな思いはしなくて済むだ」
この世界に来てからのトイレ事情を思いだし、その頬には一滴の水が流れ落ちた。
しかし後日、あのような出来事になるとは露程にも思っていなかった。
☆★☆★☆
「ふぅ、やっぱこう、敷居の在るトイレは落ち着くね。周りが見えるのはどうも落ち着かん」
木の繊維から作った、柔らかく水にすぐ溶けるトイレットペーパーで処理をしてトイレから出る。
「ウキャ」
「おう、すまん待たせた」
入れ代わるように一匹のピンクサルがトイレに入っていく。
いまだこのトイレを利用するものは少ないが、それでも少しずつ増えてきては要るようだ。
少しずつ増えてる理由としては、やはりピンクサル達も糞尿の垂れ流しは駄目だと考えていたのかもしれない。
「あいつらの意見も聞き届けて、トイレはなるべく使いやすいように手直ししているからな。使い心地はもっと良くなるだろう」
それこそ他の物作りより、優先順位が高いぐらいに徹底して作っている。
そうやって随時作り変えていったお陰か、ピンクサル達も多く利用することに為った。
そしてそんなある日の事。
グギュルルルゥゥゥウウウ~~~~~
「や、やべぇ、今日はちょっと水物取りすぎたかな? は、腹の調子が、整腸剤の作りおきが確かここに………………ない。くそッ何処に置い(グギュルルルゥゥゥウウウ)はうわぁ!? だ、ダメだ、薬じゃ間に合わん。と、トイレに」
腹を押さえるように外に出て、よたよたしながら川原のトイレ近くまで行くと。そこにはピンクサル達が行列をなしていた。
「何でこんなにこいつら達が、はうぅうう!? ヤバい、もたない、トイレに」
プルプルと生まれたての小鹿のような足取りでトイレに行こうとするが。それを最後尾に並んでいたピンクサルに止められた。
「がっはぁ!? ちょっおま、なにをする!? 今の自分はちょっとの衝撃でも、ダムが決壊するレベルの事態が起こってあるんだぞ!」
「ウキ、ウキキ、ウキ」
ピンクサルが自分の後ろを指差してジェスチャーをしている。
「それは、もしかして、トイレに行きたかったら順番守れって言ってんのか?」
「ウキ」
肯定の頷きであった。
その瞬間自分の顔は青くなっていったに違いない。
「いや、でもな、自分な、緊急事態なのよ。そこうな」
「ウキキ! ウキュ!」
「何言ってんだ! 自分だ決めたルールだろう!」と言った感じにピンクサルに怒られた。
そして周りのピンクサル達からも批難の目と声が上がった。
「でもな、あれ自分が作った物だし。優先権みたいなものは」
「ウキキィ! ウキィ!」
「自分達にも使って言いって言ったのはそっちだろう! ルールにも使う時は平等だって言ったぞ!」のような返答が帰って来て。その上周りのピンクサル達も賛同するようにまた声を上げていた。
そして良く見ればピンクサル達も若干プルプルと体が震えていた。
「くっ! 確かに言ったのはそうなんだが、はうあ!? 波がビックウェーブな波がき、きた~~!?」
最早決壊寸前。この列を待っていたら人として終わってしまう。それに今さら他の場所で用を足す事など出来ぬ。行かねば。こいつらを振り切ってでも、行かねば!!
超振動の如く震える足を前に出し、トイレに向かおうとする。
しかしそれに気づいたピンクサル達が「あっ! こいつ割り込みするきだぞ!」「何て奴だ、こっちだって我慢してるのに!」「とっちめろ!」と、言ってるかは分からないが。周りのピンクサル達が自分と同じようにプルプルしながら寄ってきた。
「くっ! 来るなお前ら! 来ればお前達だって!」
「死なばもろとも!」「一人だけに行かせるな!」などと言っているのだろう。その歩く姿はゾンビの如く、自分に近寄って張り付いていく。
「や、やめろお前ら。ちょっマジやめて、駄目だから、ほんと駄目だから。下腹部にいま力いれたらダメになっちゃうぅぅうう! はっ!? はうあぁぁぁあああ!!!!」
その後トイレに関しては増設したり。野山でする場合は、他人に迷惑が掛からないように、必ず自分で処理するように。新たなルールとして付け加えたのだった。
トイレ事情を考えたらこうなりました。m(_ _)m