No.42
まだまだ(´Д`ノ)ノ連投。4/5
No.42
果樹園から帰って来るまでには雨はすっかり止んだ。
ブドウは出来るだけ数を多く採ってきたので、家に向かい。ブドウを竹籠に入れてから魚人待つ川原へと行くと。川は雨が降った後とは思えないほどいつもと同じ流れをしていた。
そしてその川の中には、カツヲとカツヲのような魚人が十人ほど居た。
(【地図記録】に表示してあった数と一致するな。全員ここに居るってことか)
どこかに隠れていたりとかは無さそうだった。
ブドウを入れた竹籠を持ちならがカツヲの前まで行く。
「お待たせいたしました」
竹籠をカツヲの前に置きながらカツヲの後ろに居るもの達に目を向ける。
「手間を取らせた。それと後ろに居るものは我の手の者だ。如何わしき者でない故、この場に留まらせた」
「そうですか」と言い、軽く自己紹介をしておいた。後ろの魚人たちは頷くだけで返答はなかった。
「では改めまして、こちらがご要望物の『山葡萄』です」
竹籠の蓋を開き中を確認して貰う。
カツヲを含め魚人達は「おおっ~これが」「これで御姫様に喜んでいただける」などの感動の声を表していた。
「確かにこれは我が御姫様から聞き及んだ物と一致する。忝なかった、我らだけでは見つけられ無かったかもしれぬ」
「いえ構いません。こちらも威嚇とは言え、矢を射ち放った過ちがありますから」
当たらなかったとは言え、当たっていたら大惨事だからな。謝罪は改めてしておこう。
「そうか。そのもと、いや、トウイチロウ殿であったな。トウイチロウ殿に山葡萄を持ってきて貰った礼をしたいのだが。生憎と我らは手ぶらでな。我らに出来うることであれば、トウイチロウ殿の望む物を用意するが……」
白紙を出すのは良くないぞ、カツヲ。まあそれほど手に入れたかった物なんだろうけど。
「先ほども言った通り謝罪の意味も兼ねて持ってきた物です。礼は不要です」
自分がそう言うと多分困った顔をしているのだろう。この手のタイプは貸し借りにうるさそうだからな。助け船を出しとくか。
「それでしたらまたこの様に山葡萄などをお求めの時には、物々交換などしていただければ結構です」
カツヲは少し考えてから「そうだな、また有るやも知れぬ」と頷く。
「山葡萄はその入れ物事お持ちください。それからご要望の時がありましたら、この先の大きな木があり。自分はそこを住まいとしていますので」
「あい分かった。何から何まで済まぬ、それではまた相見える時まで」
カツヲは竹籠を受け取り。再度礼を言ってから魚人達と共に、川の中へと消えていった。
「さて、良く分からん事態は取り合えずお仕舞いかな」
座っていた体勢から立ち上がり、凝った体を解すように伸びをする。
そして家に帰るかと振り返ると。
「「「「ウキキィ~♪」」」」
いつもより数が多いピンクサル達がそこにはいた。
「やれやれ、騒がしいのが来たか」
ゆっくりとした足取りでピンクサル達の下へ向かう。
ピンクサル達は自分のそばにやって来て、何かを伝えているが何かは分からない。ただ自分を心配してここに来てくれたのは分かった。
「落ち着けお前ら。時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり聞いてやるから一旦家に行こうか」
「「「「キキィ~♪」」」」
そう言ってピンクサル達共に家にと向かう。
それはいつの間にか日常と化していた風景だった。
「あっ! 話が通じるならカツヲにこの世界の事、詳しく聞けば良かった」




