No.3
No.3
「うむ、少々着心地が悪いが、まあそこはしゃあないな」
マッパで要るのはさずかに辛いため、そこら辺に生えていた大きめな楓の様な葉を千切り。蔓草で一枚一枚丁寧に通していき。即席の腰簑を作った。
「あとは食料確保と水源の確保か…………なんで異世界に来てまで、サバイバルを経験しなくちゃならないんだろうな?」
自分があのチラシに興味を持たなければ、こんな事にはならなかったと思うも。だけど何処かでこの状況を楽しんでいる自分が要ることも、また事実としてあったのだ。
「木には…………実が成ってないか。水場を見つけながら一緒に探すかな。取り合えずどっちからいくか」
どっちへ行っていいのかも分からないので、落ちていた棒切れを立て。倒れた方向に進もうと決めた。
「こっちか」
棒が指し示す方に歩き出す。ついでに何も持っていないと不安なので使った棒を拾い。迷子にならないよう地面に線を書きながら行った。
「う~ん……食べられそうなもの、食べられそうなものは何処だー?」
周りを一応は警戒しながら木の実や果実等がないか探す。
しかし地球とは違ってここは異世界。食べられる物など、どれがどれだか分かりようがない。
ガサガサ
「な、なんだ!? け、獣か!?」
探し歩いていると突然、近場の草木が不自然に鳴る。
警戒を強め。持っていた棒を構える。
「ウキャッ」
ガサガサと草木の間から顔を出てきたのはサル(?)、だと思う。
何やらやたらとファンシーな顔立ちをした、ピンク色のサルだな。この世界の生き物は、みんなこうなのだろうか?
「なんだサルか……。あ、いや例えサルでも狂暴なのは要るからな、用心用心っと」
いつでも逃げれる体制を取りながらサルを観察する。
その当のサルはと言うと。キョロキョロと辺りを見回してから、自分の存在に気がついたのだろう。こちらと目が合うと、じぃーっとこちらの方を見ている。
見つめる。
見続ける。
まだ見ている。
いい加減見るのやめてくんない。そろそろこっちが挫けそうなんですけど。
「くッ! でもここでそらしたら、何か負けた気がする!」
その後もしばらく見ていたが飽きたのか。それともこちらに攻撃する気がないのが分かったのか。サルは草木の間から出てきた。
出てきたサルは顔と同じように、全体的にヌイグルミのような存在だったが。ひとつ変わったことがあるとすれば、地球にいるサルと違って尻尾の数が四本あった。
そしてその四本の尻尾を巧みに使い。何処からか取ってきたのだろう果物らしき物が、尻尾で握られていた。
「お、それ果物か? 何処だ取ってきたんだ? と言うか、食えるならひとつくれないか?」
サルに通じるとは思わないが言葉を投げ掛ける。
案の定サルは首を傾げると、そのまま何処かへ行ってしまった。
「思わぬ出会いではあったが、少し収穫はあったな」
サルと会ったことにより。この森には少なくともあのサルと。あのサルが持っていた果物があると言うことがわかった。
「じゃあ、あっちに行ってみるか。しかしビックリしたな。いきなり会うのも驚いたけど、さすが異世界。サルもピンクなサルが要るとは驚きだ」
四本の尾っぽよりそっちかよ! って突っ込みは無しにしていただきたい。