No.100
No.100
「美味しかった~♪ トウイチロウ、ピザって言うの熱くて、たくさん食べ物があって美味しかったよ」
「「「「ウキ……」」」」
ピザはご評判頂けたようだ。
ピンクサル達もいつも通りに貪り食うようにピザを食べていたが、まだ物足りないようだ。
しかし無いものはないので諦めろ。第一お前らは余分に食べてるだろうが。自分だって足りん。
「しかしトウカ、二、三ピースしか食べてないが良いのか?」
「うん! おなかいっぱい~♪」
どうやらトウカは少食のようだ。
最初は遠慮して食べないのかと心配もしたのだが、本当に食べられないようだった。
それじゃあ余ったトウカの分を頂こうと、ピザに手を伸ばしたら。あいつら一斉にトウカが食べなかったピザを持っていき。
「はやいものがち」何て言ってきた。
両手いっぱいに持って。さらに口にまである状態で欲張りすぎじゃないか? 一枚でいいから寄越せよ。
「「「「ウキ」」」」
くっ、ここで大人げなく争うのはカッコ悪い。仕方ない、果物でも……食われてなかった。…………水でも飲んで誤魔化そう。
「うぅ、腹がポチャンポチャンする」
水腹になりかけの腹をさすりながら、今日はまず何をするかを考える。
今日明日の分の食材を取りながら昼食をとって。帰ってきたら、門へ行く用の装備を作るか。
食材は、昨日の宴会でほとんど使われてるからな。一通り回るか。
「あれ? トウイチロウどこかへお出掛け? ならトウカも行くー」
家に戻り。一階の倉庫から大八車引っ張り出してくると、トウカが駆け寄ってくる。その後ろからピンクサル達も付いてきた。
「ああ、食材がもう無いからな集めに行ってこようと思ってな。それから付いてくるのは構わないが、雑草とかあるから長袖の服に着替えて来い」
「はーい。どこにあるの?」
「トウカ用のタンスを作った。すぐわかると思うんだが、すまないがピンクサル教えてやってくれ」
「ウキィ!」
ピンクサルが「こっち来い~」って感じでトウカを手招きする。
自分はその間に他の物も出しておこう。
ええっと、竹籠を、六つ出しておくか。それと紐とーー
「うにゃ~ん……」
荷物の準備をしている最中、大きな欠伸をしてトラさんが現れた。
「おはよう。ご飯は一応取ってあるが食べるか?」
あの欠食児から守るのは大変だったが。
「にゃ~ん?」
「いや、干物じゃないが」
干物じゃないと言うと残念な顔をして、それでも一応食べるといった。
どんだけ干物気に入ったんだ。約束の分もあるから早めに作らなきゃな。
「トウイチロウ、着替え終わった」
家から飛び出てくるトウカ。その姿は長袖のTシャツにズボン。今の自分と変わらない姿だ。
「おおちゃんと着替えてこれたな。すまないがこっちの鎌と鋏を、あの台車に載せておいてくれないか。一応カバーは付いてるが刃物だからな気を付けろよ」
「うん! わかった!」
頼まれることが嬉しいのか、数本の石の刃で作られた鎌と。それと同じく石の刃の鋏を手に持ち。大八車へと持っていくトウカ。
さて後は昼は、そうだな。ユニ子のところで食べるよう、それなりの準備をして行くか。
いつも持っていくバックバックに調味料の確認をして。
「あとは竹筒に水を入れて、出発だな」
「にゃ~ん?」
「ああ食材が切れたんでな。一緒に行くか?」
「にゃーん!」
暫くすると全員準備もできたようなので。トウカとピンクサル達が大八車の空いている隙間へ乗り込み。トラさんは自分の頭の上に居座った。
誰一人として、一緒に引いて行こうと言う気の有る者が居なかった。
「はあ、じゃあ行くぞ。道は途中までは整備してあるが、落ちるなよ」
「はーい。楽しみだねおさるさん」
「ウキキィウィキィー」
「ウキキィー!」
自粛しろやお前らは。畑荒らしてユニ子に怒られるのは自分なんだぞ!
ガラゴロガラゴロ、と大八車を引いて歩いていくと。道が切れるところになり、トウカに術で身を守るよう言う。
「え? トウカできないよ」
何て言葉が帰ってきた。
ちょっと待て! 昨日は出来て、あ、いや、あれはトウカさんの時だったか。ってかそう言った記憶がないのか?
「本当にできないのか?」
「うんできないよ。トウカまだ術式の組み立てかた教わってないもん」
じゃあどうすんだ!? この聖地でトウカの暮らして行ける場所って【陣地作成】で作った場所のみか?
「うん? どうしたのトウイチロウ。行かないの?」
これは言わなきゃダメだろう。でも言ったら言ったでまたくずりそう……。
「あーあのな、トウカ。こっから先は術で身を守らないと行けないんだわ。だから……」
「えっ……!? もしかしてトウカお留守番……」
「まあ一応ピンクサル達を残すが…………!? あっ! そうだお前ら!」
「「「「ウキ?」」」」
悲しそうな声を出すトウカに、申し訳なく思いながら留守番を言い渡す途中で、自分は有ることを思い出した。
「お前ら以前自分に魔法の訓練をしたことがあったろ。あれをトウカにもできるか?」
自分の問いに、いつもなら即答のピンクサル達が悩み。
「ウキ……」
「素養はあると思うぞ。会ったときにトウカは火の魔法、じゃない。ええっと、トウカのところだと元術を使っていたから」
「ウキキィ」…………ウキ……」
おい、最後のが余計だろ。
「トウイチロウ……?」
「ああすまん。こいつらが術の使い方を教えてくれるって言うから。トウカ達は一旦家に戻って、術の勉強って言うのはどうだ?」
「う~……」
トウカがこちらを睨んでいる。お気に召してはくれないようだ。
「ほ、ほら、自分も昼には一旦戻ってくるから。その時までにトウカが身を守る術を覚えていれば、午後は一緒に行けるぞ」
焦りながらもそれらしい理由をつけ、トウカを説得する。
「……わかった。トウカがんばる。おさるさん教えてくれる?」
「ウキキィー。ウキウキ?」
何やらかっこいいセリフを言っているがトウカには通じてない。
……良かった。トウカは渋々ながらも了解してくれた。昨日のような駄々をこねるかと思ったが、素直に聞いてくれて良かった。
「ありがとうトウカ。こっちもなるべく早く帰ってくるから。術を覚えて、午後は一緒に行こうな」
「うん、わかった。じゃあ行こう、おさるさん」
大八車から素直に降りるトウカ達。
来た道を戻りながらも振り返るトウカは、未練がまだあったようだが、こればかりは仕方がない。
トウカの姿が見えなくなるまで見送ったあと。残ったのがトラさんただ一匹。
収穫するのには人数が欲しいんだが、トラさん一匹…………。
「収穫、手伝ってくれるか?」
「うにゃ~ん?」
首を傾げながら聞くトラさん。やる気はあるようだ。
まあ最悪の場合、自分が頑張ればなんとかなる、かな?
しかし、トウカの幼児化? 子供化? の弊害がここで出てくるとはな。う~ん、これは早めにエヴァが言っていた、
医療の知識を持つ人を探した方が良いかもしれないな。




