No.1
No.1
ある日突然、異世界に来ていた。
こんなフレーズもう見飽きた? まあそんなこと言わずに、少しばかり付き合ってくれよ。
ある昼下がり。
今日の昼飯は何にしようか? う~ん金もないし、コンビニ弁当でいいかと、コンビニで弁当を買う時の事だ。
レジ打ちに立つ。キツネ顔の何となぁく、胡散臭そうなにぃちゃんが。
「これゲームか何かのキャンペーンみたいで、登録すると何か貰えるらしいですよ。よかったらどうぞ」
と言って、弁当と一緒にチラシを入れていた。
「おいおい、自分自身も知らねぇものを人に勧めんなよ」と、心の中で突っ込みを入れた。
それから弁当を受け取りコンビニを出た、出ていきながら。
ゲームか、アプリゲームなら少し暇なときに出来るけど。本格的なのは仕事が忙しくて、もう何年もやってないな。今度休みの時にでも久しぶりにやろうかな。
等と考え、近場の公園で少し物足りなさを感じる弁当を食べきり。お茶を飲み、一息付いた頃に。
「わびしいなぁ。飯を作ってくれる彼女も嫁もいないのが、いけない気がする……ハア、さて時間は」
昼時間を気にして時計を見たら、まだ大分時間があった。
少し暇ができたなと。先程コンビニでチラシを貰った事を思い出したので、どんなものかお茶を飲みながら見てみて。そして吹いた。
「ブッハー!? ゲホッゴボッ、なんだこれ!?」
そこにはこう書いてあった。
『来たれ! 異世界の若人よ! 世界は君を待っている!!』
新手のギャグかとも思った。
こんなフレーズでプレイヤーを募集するところがあるなんて、何処の制作会社だと。
しかし表面にはこの文字とQRが在るだけだった。
「勇者だ……勇者過ぎる……」
このあまりにも強きな発言に心打たれ。持っていたスマホを取りだしQRを読み込ませた。
ページに接続できたので、何処の制作会社だと探して見たがら何処にも載っていなく。在ったのは一つの質問事項のみ。
「……まだ時間はあるか。登録で金は掛かんないだろうしな、やるか」
スマホで出来るゲームならそれ程手間じゃないだろうと。また換金系のゲームなら直ぐ止めればいいやと考え。興味も出ていたので、そのまま進めてみる。
Q&Aの場所をタップすると新たな文字が出てきて。
『異世界に行くあなたに質問です。あなたは転生を望みますか? それとも転移を望みますか? 転生/転移』
最初っからぶっ飛んでる質問のような気がするが、取り合えず転生って言うのは死んで生まれ変わるってことだよな。
本気で考える必要性もないんだろうけど。死んでまで異世界に行きたいとは思わないから、転移で。
転移の方をタップするとまた文字が変わり、新たな文字が出た来る。
『転移の方に質問です。異世界に行くのに現在の年齢から変化させたいですか? Y/N』
う~んどうなんだろう? 少し体ががたついてきたから、若い方がいい気がするな。
ゲームのアバター作りをしている筈なのに、何となく自分の事のように感じるな。
そのままYesの方をタップすると、自分の年齢とピッタリの数字が出てきた。
十の位は偶々だろうけど。一の位で半端な数字が出てくるものか?
困惑するもどのくらい下げるかと悩み。
「十五ぐらいが肉体的にも良い頃かな」
数値を十五まで下げ、次へと進めた。
『最後の質問なので良くお考えの上お答えください』
お、もう最後か。呆気ないな。
たった三つの質問。こんなので大丈夫かと、この斜め上な作りの制作会社を心配した。
『この最終選択肢を選ぶと後戻りができません。それでもよろしいですか? Y/N』
後戻りも何もあったもんじゃないと思うんだが。これで物語のように、本当に異世界に行ったら………………笑えない冗談だな。まあそんな話、実際のゲームで有る分けないけどな。
そう思い笑いながらもYesの方をタップする。
選ぶと今までと同じように文字が消え新たな文字が現れ。
『最終確認されました。ようこそ新たな世界へ』
その文字を確認すると急速に意識か遠退き始めた。
意識が完全に失う前、誰かに声を掛けられた気がするけど分からなかった。
ただその声の主だと思う人から、暖かな何かを受け取った事だけは覚えていた。
そして目が覚めると公園にいた筈が、何処とも知れない森の中にいたのだった。
「……………………おいおい、マジかよ。本気で笑えないぞ」
目が覚め最初に出た言葉がそれだった。