象徴詩『インテリア・カルト』
骨の鋏は胃袋を頭陀袋にし
白皙を茶色のカーテンにする
消えない沫雪と痕の無い遺冷
イーリー・アリスに出会うアフィン空間
出口無しの亡霊
貼り付けた煉瓦の湿り
顔に塗る黒い黴
碧い瞳は青い鐘
透き通る響き
鳴り響き
呼び寄せる
金属の髪は歯車
テープレコーダー
思い出話で色褪せるアルコールの無時間
病歴聴取の華
黒玉の嵌まる有患子の扉
閉め切り隠蔽する獸石と腐果実
救う手首にセグラの赤を巻き繋ぎ
爬虫輪に蟲を喰わせる
眠りの滓
針刺せ 糸刺せ 綴れ刺せ
瓶詰めの太陽は期限切れ
転送されるプシコーゼの標本
アイマラで見付けた仮足は煙
帰巣体に流れていた血は流れ堕ち
空っぽ
新血満ちる水差しの銀影
反転
懐中茶碗の底の下
赤海を泳ぎ切る
対岸に埋まる壺嚢を振る
振りながら
その磁針を探す
鋏なら
ある