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OPEN EYES
殊更にお母さんが悲劇の主人公である必要性はないのだが。
なんとなく。
さぁ行きましょう
ここではない何処かへ
そっと目を開いて
ほら朝日が昇るよ
私の子供は
生意気にも和食派
トントントントン
炊き立てご飯に豆腐の味噌汁に焼き魚
食事を終えて
席を立つ
じゃあママ行ってくるね
大好きだよ
それが最後の言葉だった
あの子病院で
変わり果てた姿
目眩を誘う白い布
どうして家の子が
車ではねた男の人が
涙ながらに謝っている
この人が・・・
目を閉じて祈る
何かの間違いでありますように
神様いるんでしょ
家の子を返して
目を開けて
目を開けてよ
さっきまであんなに
元気だったじゃない
行ってくるね
そう言ったじゃない
じゃあ帰ってきてよ
そっと目を開く後に
ママ大好きだよ
そう言ったじゃない
じゃあおでこにキスをさせてよ
そっと目を閉じる前に
開かない 開かない
つぶらな瞳を覆う瞼
どうか そっと目を開いて
ほら夕日が沈むよ
さあ逝きましょう
ここではない何処かへ
花が咲き誇り 舞い乱れる
あの場所へ 一緒に
それにしてもこれは短すぎるかもしれない・・・。