あとがき
ある小説家に自分の代わりに投稿して欲しいと伝えられました。
やぁ。これを読んでくれている君がいるってことは、僕は遺作を書き上げたことに満足してから死んでるんだろう。こんなに喜ばしいことはないね。
あぁ、自殺じゃなくて病死だから、そこは安心してほしいな。
ここで君が前のページに戻ることは許さない。だって、物語ってのはあとがきを読んで初めて作者が何を思ってこの物語を書いたのか、結局この物語が何だったのかわかるんだろう?
さて、この〝あとがき〟が投稿されたってことは僕の遺作は無事書き上げられたってこと。
僕の遺作?このあとがきの前に別名義で執筆した作品だよ。とにかく、この〝あとがき〟は僕の遺作の一部なんだ。
こんな遺書を小説サイトに投稿したら僕の遺作は丸ごと消されるだろうから、問題になりそうな〝あとがき〟だけ別の作品として投稿してもらうね。
まぁ、安心してよ。これは遺作を消されないようにあたかもフィクションのように書かれた本当の遺言(遺作のあとがきでもあるね)かもしれないし、僕じゃない本当の作者──たとえば投稿者が実在する作家の遺言としてイタズラに書いたフィクションかもしれない。
君には知りようがないし、どっちにも見えるように書いてあるからね。
これが作者の遺作のあとがきなのか、本当にそう思えるように書いた作品なのか。僕イコール作者なのか、それともただの実在しない登場人物なのか。君に判断を委ねる。
作者は知らないけど、僕は遺作を消されないようにこういうふうに書き残してるのと、この〝あとがき〟は僕の遺作のあとがきであることは事実だからね。そこだけは理解してほしい。
うーん、せっかくだし君に教えてあげるよ。知りたいんでしょ?ここまで読んでくれたってことはさ。
僕は、遺作と呼びたい小説を書いてしまったんだ。僕はこのあとがきの本編となる遺作の登場人物にどうしようもなく心酔しまった。で、その登場人物が登場する作品を創作者として特別でもう塗り替えることのできない遺作にしたいと思ったんだ。
だってそうだろう?本人は死んでるから、どうあがいても他の作品を遺作にしようがないんだ。
あぁ、もう一回言うけど自殺じゃないからね。ちゃんと、僕が死んでから投稿してもらえるようにお願いしてあるから。
遺作にしたいから死ぬしかない、なんて書いてないよ。だってこれは余命宣告された僕の遺作のあとがき兼遺言なんだから。
じゃあね。このあとがきも含めて僕の遺作なんだ。君がこのあとがきを読んでるってことは僕はもうすでに死んでる。
あ、そういえばこの作品の作者は人間であり人間じゃない。これは本当だよ。
ね?これで君はこのあとがきが本物なのか偽物なのかわからなくなった。
なんて。遺作を炎上させて喜ぶ創作者なんてガチモンの狂人ですよ。
じゃあ、今度こそ。僕と出会ってくれてありがとう。君の人生が少しでもいい方向に進むよう願ってる。




