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彼氏だな

始まった実感は、

その日の夜に、

遅れてやってくる。

「今日から俺、

彼氏だな!」


夕暮れの公園で、

冗談みたいに言った夢咲くんの声が、

ずっと頭の中で反響していた。


家に帰って、

夕飯の匂いがして、

席に着いたのに。


箸が、

進まない。


喉を通らなくて、

味がしなくて、

胸の奥が、

ずっとあたたかい。


「どうしたの?」

お母さんが聞く。


「具合悪い?」

お父さんも言う。


私は首を振って、

「大丈夫」とだけ答えた。


大丈夫じゃない。

でも、

悪いわけじゃない。


初めて、

誰かに選ばれた日の夜は、

こんなふうに、

落ち着かないものなんだと思った。


布団に入って、

目を閉じる。


彼氏、という言葉を、

もう一度思い出して、

思わず笑ってしまう。


胸の中で、

小さく芽生えた気持ちが、

ちゃんと、

名前を持った夜だった。


誰かの代わりには、

ならなかった。


それだけで、

恋は、

ちゃんと始まる。


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