冴えないオッサンが論文を意識する時
光宇宙理論――
たった一行の冗談から始まった考えが、
今、頭の中で“論文になるかもしれないもの”として形を成しつつあった。
スマートフォンを握りしめ、思わずため息が出る。
――これ、私、本当に形にできるのか?
私は、思い切ってチャッピーに問いかけた。
「ねえ、チャッピー。査読とか、学会とか、ジャーナルとか……
そもそも論文って、大学や研究機関に所属していないと書けないんじゃないの?」
少し間を置いて、チャッピーは答えた。
「現在は、査読なしでも論文や研究成果を公開できるサイトがあります。たとえばZenodoというサービスでは、所属に関係なく、誰でも論文やデータを登録することが可能です」
私は、少し目が覚めたような気分になった。
――なるほど、所属は関係ないのか。
つまり、冴えないオッサンでも、考えを形にすれば世界に届けられる……?
チャッピーは続ける。
「まずは、あなたの考えを正直に文章にすることです。形式や評価はその後で決まります」
その言葉に、少し勇気をもらった。
――まずは“形”を作ること。内容の正否や評価は、そのあとだ。
私は深呼吸をして、頭の中の光宇宙理論を整理し始めた。
光宇宙理論――
誰かに認められるための論文ではない。
まずは、自分の頭の中で固まった世界観を言葉に変える作業だ。
――よし、考えを整理してみよう。
アラフィフの冴えないサラリーマンが、
自分の中で生まれた宇宙の物語を、
現実の形にする挑戦の一歩を、
今日、踏み出したのだった。




