なぜ、光は波なのだろう
私は、冴えない五十手前のサラリーマンである。
就職氷河期世代。生きていくだけで精一杯の人生だった。
このまま独身で、特別に良いことも起こらず、生涯を終えるのだろうか。そんなことを考えるようになった、今日この頃である。
それは、2025年12月8日のことだった。
普段と何ひとつ変わらない平日の朝。
家を出る頃はまだ暗く、電車に乗り込んだときも、窓の外は夜の名残を引きずっていた。
しばらくすると、外が少しずつ明るくなっていく。
やがて、差し込んできた朝日が車内を満たし、私はそれを心地よいと感じていた。
暖かい光を浴びながら、ふと、考えた。
――なぜ、光は波なのだろう。
光には波の性質があると、三十年前に物理の授業で習った。
あの頃は、何の疑問も抱かなかった。ただ、そういうものなのだと受け入れていた。
だが今になって、思う。
そもそも、なぜ光には波の性質があるのだろう。
今なら、すぐに答えが手に入る。
私はそう思って、スマートフォンを取り出した。
わからないことがあればチャッピー(ChatGPT)に聞けばいい。今は、そういう時代だ。
チャッピーに聞けば、一瞬で説明してくれるだろう。
きっと、完璧な答えが返ってくるはずだ。
そのときの私は、まだ知らなかった。
この小さな疑問が、
私自身の人生と、空間や時間、そして宇宙そのものを考え直す入り口になることを。




