急な終わり
「はあ、今日の授業だるかったな。」
「まあ、M1だし。それに今年だけ頑張れば、あとはめちゃくちゃ忙しい状況じゃなくなるから。」
「早く前期終わらないか。そういえば、今日帰ったら何かやんないといけないことあるっけ。」
「明日、制御の授業あるから、明日までにレポートやらなきゃ。」
「まじかよ。俺バイトあるのに。」
「まあ、早く終わったらラインで送るわ。」
「まじか。サンキュー。じゃ、また明日。」
「ああ、じゃあね。」
そういって、友達の大和はバイト先に向かい、僕は帰宅のため地下鉄の駅に向かった。
大和もそうだが、機械工学科を先行している僕らは、現在大学のレポートと就活または研究に追われている。実際昨日は、実験レポートをワードで20枚書き、その前日は熱力学のレポートを解くのに10時間かけているわけで、大学生活を謳歌できていない。
「文系の学生は楽しそうだな。」
つい小さな声で呟いてしまう。隣では文系の学生と思われる男女が手をつなぎながら地下鉄の階段を下って行く。
高校時代は、大学にあこがれや煌びやかなイメージを持っていたが、実際は実験やらレポートやらバイトやサークルの雑務などに追われている。
もちろん、なぜ文系選択にしなかったのかと後悔している。
『まもなく電車がまいります。黄色い線の内側までお下がりください。』
そう考えていると電車が来た。今日もかえってレポートを仕上げなければならない。
ドン!!
その時、後ろから何かがぶつかってきた。一番前に並んでた僕は体勢を崩し、黄色い線の外側に目のめりになる。
「うわ!」
ブーーン!!!!!
あまりの後ろからの押されように、ホームにとどまれず、目の前に電車が見える。
(ああ、なんか景色がゆっくり見えるな。これが走馬灯ってやつか。しかし、だれが押してきやがったんだよ。)
そういってゆっくりの情景の中、顔を後ろに向けると後ろにいたのは見知らぬ外国風の女性であった。あまりしっかりは確認できなかったが、手が前に出ていることから彼女におされたのだろう。
(大学になって彼女を一回も作ってないのに、女に恨みでも買ったのか。)
そう走馬灯の中、最後心底現状が嫌になり考えるのをやめた。
走馬灯の後に目の前が暗くなりだんだん意識を失った。
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(…まぶしい)
目に光の刺激を受け、そう感じるとともに僕は目を覚ました。
(死ななかった…何とか助かったのか。)
目のほうを開けようとすると、まるで視力を大幅に失ったかのようなぼんやりとした情景が映し出されていた。目の前に人はいるが、声を出そうとしてもうまく発音できない。
耳も聞こえるような感覚はあるが、まるで違う言語をしゃべっているようだ。
(後遺症なのかな。なんか眠くなるし。)
前後の関係から人身事故による後遺症としか考えられないような状況の中、僕は眠りについた。
作品を読んでいただきありがとうございます。
この物語は、Dr.STONEが化学っぽいテイストであるのに対し、工学に振り切った作品にしようと思っています。できるだけわかりやすく、そしてファンタジー要素を含んだ物語にしようと思います。